2023年8月5日。蝉がなく夏の日の早朝

クーラー設置見習いの始業日に当たる。7時出発で、8時始業に間に合うようにする。

朝のバス停で待っていると、父親にくっつく子供の親子と居合わせた。なんかまだ甘えている時期なのか、父親の足元にしがみついて、ふらふらしないのと注意されていた。懐かしい光景だなと思った。ちょっと子供が大きい気がしたが

バスの到着は10分ほど遅れた。これで焦り始めた。バスの乗り継ぎに間に合わなくなるかもしれない。必死でグーグルマップで別のルート路線はないか調べた

付近にバス停が点在しており、何時にどこのバス停で、何行きのバスにのれば目的位置にたどりつけるのかわからなくなる。一応当初の予定通りのバスには乗れたが、遅刻すると大変なので、何個かグーグルの経路をホーム画面にお気に入り追加した

事務所につくと中年のやせたベテランの作業員の方に、入社書類を記帳するように言われる。見本を見ながら時間をかけて書いた。事前に言われたシャチハタも持参している

これから私の上司兼親方になる正社員の方で、親父とかこの日記には書く

声は40代くらいだが、たばこの影響なのか顔色が悪く、白髪が多いので60代前半に見える。多分実際の年齢は50代半ばくらいで、たばこと飲酒で見た目より老けて見えるんだろうなと思った。

全体的にやせているが、腹がビール腹みたいに膨らんでいる。多分よく働いている人だが、飲酒とか喫煙を常習しているとこんな体型になると想像した

それから連絡用のスマホIphoneSEを貸し出され、二階の冷蔵庫から熱中症予防のための麦茶を携帯するようと言われる。

出発前に急遽二組目の入社書類を記帳するように、車の中で言われる。これが予想外で家族の生年月日を記帳するものだった。現場に向かうハイエースのガタつく社内で書類を書いたが、家族の生年月日は調べようがない。

今日中に提出が必要と言われて焦る。事前に言ってくれれば用意してきたんだが・・・親に電話してもでない。たまたまOPPOのスマホにtxtで家族の連絡先と生年月日が保存されているものを見つけた。本当に偶然だった

だがどうにもならなかった。社内でその入社書類を撮影して、事務員のLINEに送信して代筆を依頼した。が印鑑がないと受理できないといわれた。結局事務所に帰ってきて渡すしかない

ここで勤め先が二つミスを犯した事に気づく。事前に家族構成と充電用のライトニングケーブルを用意してくるようにと、私に伝えてなかったのだ

親父が運転しているが、IphoneSEのグーグルマップを見ながら、「いま右の路線はいるとこじゃん間違えた。高速の車線紛らわしいんだよ」と独り言を言っている。グーグルマップは便利だが、特に立体高速道路の路線が把握しづらい。経路はちゃんと書いてあるが、車線が表示されないので、見落とす場合があるのだ

次いで目的地と思われる駅のロータリーに入るが、親父が目的地違うじゃんと言って電話している。伝えられた住所は正しく入力したが、住所の~町という単語を伝えそびれたらしい

次に到着したのはコンビニの駐車場だった。ほかの作業員のアニキの車に家電を乗せ換えている。本来は午後にこの乗せ換えをやる予定だったが、アニキの一件目が急遽キャンセルになったので、クーラーがすぐに必要になったらしい。親父は朝出発前に念のために乗せ換えておけば良かったじゃんと文句をつけていた

どっか川崎近辺の過密した住宅地に到着した。一件目はクーラーではなくトイレのウォシュレットの付け替えをするそうだ。私はできることはないので、マスクをつけてお客さんに粗相のないようにと指示される

新築の二階建てのアパートで、入居者の操作がないとアパートに入場できない厳重なタイプ。立地と新築、厳重なセキリティで、一人暮らし用の部屋だが家賃は8万ぐらいいくんではないか

ヒカキンとしか言いようがない見た目の客に応対され、綿シートの養生を敷いて、親父がウォシュレットの取付作業を開始した。

狭い室内で親父の取付作業を見学できないので、玄関前の廊下でおとなしくしているしかなかった。ここで重大なトラブルが起こる

ウォシュレットの取り換えのために、水道栓の蓋を外したところ、水が止まらなくなった。これは止水栓と呼ばれる元栓で、普通は必ず閉めれば水道は止まるが、それが止まらないのだ

親父が水の元栓を止めて客に頼んでと言っている。とりあえずアパートの管理会社に水の元栓を止めるようにと頼んでいるが、要領を得ず一向に水は止まらない。

どうも玄関前の隣の扉がガスと水道の点検ドアになってるらしいが、開け方がわからない。自分も見てみたが、こんな経験はなくどうすればいいのかわからない。鍵で施錠されているタイプではないようだが・・・

親父に自分が水を止めるから、このドア見てくれと言ったが、手が離せないといって受け入れられない。客もどこかに電話しているが、どうも対応先を間違えたのか、自分が何とかするしかない

ステンレスのハンドルでこのドアはロックされてるようだが、取っ手タイプのハンドルとボタンがある。なんとなくボタンを押しながらハンドルを回せば開きそうに見えたがハンドルが回らない

職人でも管理人でもないので、どうやってあければいいのか見当もつかない。だが多分これはボタンを押しながらハンドルを回せば開きそうな予感があったので、今度はめちゃくちゃ指先に力を入れてハンドルを左右に回してみた。そうしたらドアが開いたのだ

が中にはパイプとバルブがあるだけで、どうすればいいかわからない。正面中央の青いバルブが水道の元栓に見えたが、これはナットで固定されていて回らない

親父にそのことを伝えると、水道局に電話してくれと怒鳴られる。客は水道局や管理会社に電話しているが、一向に対応できる知識の人間が見つからないらしい

私は途方に暮れていたが、左下に白いハンドルのようなものがあった。これは簡単に回すことができる。右方向に水平に倒したところ、水が止まったのだ。

客のトイレはすでに水びだしで、すべての養生とタオルで床の水を吹いた。タオルで床を拭いて、外で絞るのバケツリレーを私と親父で繰り返した。親父が客に謝罪してウォシュレットの取付作業を開始したので、私は使ったタオルと養生を共用スペースに干していた。 今日は熱射が強烈だったので、すぐに乾きそうだった

ここで私はほっとして、タオルを干しながら何が起ったのか落ち着いて考えられた。私は本当に素人なので、 止水栓と元栓の存在もこの時わからなかったのだ

親父も電話しろというだけで的確な指示ができなかった。だがウォシュレットに慣れている家電屋ならどうすればいいのかすぐに分かっただろう。アパートにも水の元栓があり、これが必ずドア横の扉に設置されているのだ。そのドアを開いて、元栓のコックをひねってくれと指示すればよかった

すでに初日からトラブルの連続だが、予期しない結果になった。全く役に立たないはずの素人の自分が役立ってしまったのだ。この現場に親父一人で来ていたら、止水栓をふさぐの精一杯で、客の部屋が浸水してしまっていた。大クレームにつながっていただろう

客も珍しがって、ドア横の扉の開け方を教えてほしいと言ってきた。実演して見せようとしたが、ドアを閉めるとまたハンドルが回らなくなった。自分もどうやってあければいいのかうろたえた。とにかく前と同じようにめちゃくちゃ指先に力を入れてボタンを押しながらハンドルを回したら開いた。

客にそのやり方を説明したが、やり方をおしえても指先に力が入らずできないようだった。客がこのことを管理会社にクレームを入れるといっていたが、親父が元々あの扉はイタズラできないように簡単に空かないようになっていると諭した

ウォシュレットの取り替え自体はスムーズに終わり、店を広げた玄関前を片してハイエースに詰め込んだ。忘れ物はないかとないかと言われて足元見てると、親父がウォシュレットのユーザー登録証を客に渡すのを忘れていたらしく、渡すようにお使いを頼まれた

二件目(エアコン取付一件目)はどこか川崎の非常に狭い路地先にある一軒家。敷地は狭く室外機の設置するスペースがぎりぎり。すぐに隣の家の敷地なので、荷物を広げるのにすごい気を使わないとならない。よくあんな狭い路地にバックで侵入して駐車できるものだと、親父の運転技術に感心する。

ここ親父兄貴の二人で取り付けに当たったが、二台駐車は狭すぎたため、近辺の住人が返ってくるたび車を移動しなければならなかった。私は雑用しかできず大したことはしてない。雑貨と家具であふれるリビングにダックスフンドのようなペットの犬が近づいてくる。あまりしつけできてないのか、よく吠えてくる

車の移動が多かったので、警備員やガソスタの店員がやる誘導の技術がなかったのが悔やまれる。ネットで勉強しようと思ってるが時間がない

室外機の取り外しと移動が厄介で、既存を取り合ずした後、柵の上まで持ち上げてから外に運び出さないとならない。横に運ぶだけなら一人でも簡単だが、持ち上げる作業はリスクが激増し、三人で協力してようやく運び出せた。

帰りに冷たいのものを人数分もらった。後述するが1/3くらいの確率で飲み物をくれる。無糖のアイスコーヒーで、すごくありがたかった。カフェインと甘くない冷たい飲料はすごい重宝する

ここで仕事は今日の仕事は終わったので早く帰れると親父に言われた。がLineで同僚が真空ポンプを持ってきてほしいそうなので、現場に向かった

現場の新築の一軒家で真空ポンプを稼働させ、片付けを手伝った。一軒家は雑貨と家具がうじゃうじゃおいてあって興味深いが、客のプライバシーはじろじろ見ないほうが良い。都会の住宅地のよくある7千万くらいの新築一戸建てに見えた

次に兄貴と親父と同僚の三人で、エアコンの取り付けを一軒行う事になった。案の定現場に駐車するスペースがないので、親父は離れた駐車場を借りないとならない

古い民家で何かエアコンの取り付けを困難にする構造上のトラブルが起きているようだった。一人では難しすぎる上に、新しいエアコンの部品がもう一台分必要になるそうだ

エアコンの部品を調達するために会社の部材置き場に車で向かった。新品のエアコンの部材を載せて、また現場に戻る。ここまで二時間くらいかかっている。夜の7時くらいにエアコンを渡して、残りの取り付けは兄貴と同僚がやるので、私と親父は帰ってよいといわれた

結局のところ夜7時30分くらいでようやく事務所に戻ってきた。今朝かけなかった分の入社書類を書き上げた。どうも親父が渡してなかった書類がもう一枚あったらしく、書き上げると終業は夜8時になった。

帰り道でダイソーでライトニングケーブル、ワークマンでレインコートを買うように言われていたが、もうしまっていた。

夜9時にようやく帰宅できた。 買い物にいけないから、冷蔵庫が空で食べるものがあまりない。