共感スコア-web小説 コラム|harano

共感スコア

2025年11月17日 更新

小説には流行の文章というのがある。古い文学系文章はインパクトがあるが、現代は受けにくい。一方共感スコアが高い文章が上を狙いやすい

タイトルでわかる共感型

小説タイトルでも共感系かインパクト系かわかる
たとえばなろう系で有名な作品”無職転生”と”オーバーロード”は、インパクト重視型

一方”転生したらスライムでした”、”女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった”は、ケータイ小説よりの共感スコア重視型に分類される

共感スコアはあいまいで、”薬屋のひとりごと”や、”水属性の魔法使い”は、両方の中間型に分類される(インパクト重視型だが、読者が親しみやすい

昨今はどの小説サイトもとても長い。共感スコア重視型のタイトルがついている。タイトルだけで内容がわかり、かつ共感スコアが高いタイトルでないと、読んでもらえないという事情がある

共感スコアが高い小説

年齢層が若い、主人公のモノローグが多いと共感スコアが上がる。主人公による心情の吐露や世界の説明などが該当する。主人公のモノローグは書きやすい上に、読者の共感を得られる。推しが入りやすく、有利なので最近は独白だらけが普通

コラム系でも共感スコア重視型というのがある。お役立ち情報や感動を誘う系の内容は共感スコアが高い。

カクヨムではそれらの小説を一話完結式で投稿するのが有利。長編以外で上に表示される小説は、明確にそういう傾向がある。短くて特に内容のないコラムやエッセイでも、共感スコアを高めて一話完結で投稿すれば、長い間居座れる

インパクト型

私の文章みたいな感じだ。感情を排し、テーマや目的をわかりやすく伝える

作品的には群像劇三人称視点だと文学系になる。最近のweb小説ではそれに該当するものはあまりない。共感ではなく内容勝負なので、不利に該当する

自分の書いている文章や小説の共感スコアを調べる方法がある。AIチャットで文章を張り付けるのだ

実はAIは人間の感情のスコアリングが、人間より得意。そのため心がないくせに、共感スコア高い文章の分析ができる

共感重視の傾向

最近の商業作品でも、共感スコアが高いものが尊ばれる傾向がある。ファイナルファンタジータクティクスのリワークがある。古参のファンの間では、テキスト量1.6倍の水増しと批判された。文章もファブルみたいで、冗長な説明を入れてくる。

ゲームしながらテキストを読むにはうっとおしいことこの上ない。アグリアスやガフガリオンの女々しいセリフに、幻滅した古参は多かった

だが最近購入した新規やyoutuberの間では好評を博した。キャラクターの感情に共感できたとして、高評価されたのだ。

つまりテキスト水増し作戦は、最近のコンテンツ産業で有効と証明された形になる

一方共感スコア重視にも問題がある。SNSやweb小説は共感系の文章だらけなのだ。インフルエンサーやアフィリエイターが特に共感スコアを重視してくる。小説もやたら冗長で共感させたいんだな、というのが見え透いて、人によってはしらけてくる

あまりにも共感スコア重視型の文章と小説が多すぎるので、そろそろトレンドの転換が起こったほうが健全かなと思う。

ただしその前にAIブーム時代が来てそれどころじゃない。SNSやweb小説サイトもあらかた淘汰されると考えている。共感系は推しが入りやすいが、危機や淘汰のようなネガティブな要素に脆弱な欠点がある