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やあ、旅仲間よ。君ならきっと私を助けられる。

それはどうして?
残念ながら、私は今ちょうど他の約束があります。

これより話すのは重大な不実の告発である事を心に留め置いて下され。事の理不尽さに憤る余り癇癪を起こされては堪らんのでね。

私は自然哲学を修めて来たのだが、大学の嫉妬深く頭の鈍い医師等の手により放浪の医師として生きる事を余儀なくされたのだ。バルコニーから転落して昏睡状態に陥った商人の息子を救うべく雇われ、患者の頭蓋の膨張を抑える為の穿孔手術に成功したのだ。

が、術後の発熱を抑えるのに柳の樹皮のチンキ剤を使うようにとの指示を家族が無視し、結果彼は死んでしまったのだ。父親は私の尽力に報いるどころか私を、自然哲学者であるこの私を、魔法使いとして告発するなどと言うのだ!彼奴等こそ正に無知と忘恩の輩と呼ぶ相応しい連中ですな。
領主は逮捕を躊躇ってはいるようだが、私が街に留まる事を好ましく思っていないのもまた事実なのだ。

私はこれまで周辺の病人を看る事で口に糊してきたのだが、街人の技術に対する理解は浅く、収入も薬の補充に事欠く程に低かった。もし別の仕事の口があれば、諸手を挙げて歓迎する事でしょうな。

そうだな、私達と一緒に旅することはできるが、前線に立って戦えなければ。
申し訳ない、今はこれ以上人手を増やす事は出来ない。

先に申し上げた通り私は医師であり、身体に触れた事も無いような象牙の塔の住人と違い自らの手を汚す事も厭いませぬぞ。
医師となる以前は学究の徒でしたからな。人の手によるものであればありとあらゆる傷を癒してきた私ならば、同様に傷付ける事も出来るという道理。貴方には御理解頂ける物と存じます。

それなら私たちの軍隊にようこそ。ドクター。
戦いは居酒屋の喧嘩とはわけが違うんだ。働き口ならほかを当たってくれ。

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{s21}とは正直、虫が好かんな。私は戦士だ、野盗じゃない。少しはやつらに哀れみをみせてやろうじゃないか。

閣下、あの野蛮な女マテルドが頭痛をうったえております。血の巡りが良すぎるのでしょう。蛭で血を吸わせてやろうかと存じます。
ところが治療してやろうとしたら、あとずさるなり殴りかかって、魔法使い呼ばわりされた。このような恩知らずな輩の無知につきまわされるのはこりごりだ。

アルティネールの物知らずには堪忍ならぬ。つい先日も負傷兵を治療していたところ、手術の激痛を和らげるのに阿片を用いるのや、切り傷に蜂蜜湿布を当てるのを彼奴はあざけりおったのです。

彼奴が医術を少しでも心得ているならば、患者に医者の腕前に疑いを抱かせるような言動は慎むのが当たり前だ。ことに、込み入った手術をしてるときはなおさらだ。奴を放逐すれば、隊のためになること間違いなしだ。

血腥い仕事よの、まこと因果な商売だ。もちろん、やむを得ないことではあるが。 この絶え間ない戦についてはフレンティスも私と同様に思っているように見受けておる。

いかに正義があろうと、同胞の命を絶つことに彼奴は深く悩んでいる。カルラディアで争いを繰り返す王国を統一し、この危難の時代を終わらせる望みについて私と語り合うこともある。

脱退

隊ではうまくこなせている。腹も膨れたし、小金も貯まったし、負傷を施術する経験知識も得た。文句もつけようが無いほどにだ。だが、今となっては隊での務めは差し障りになってきている。

これまでの経験を後世の医者に伝えておきたいのだが、それには書記を雇わねばならない。これがカルラディアではなかなか見つからなくてね。郷里に戻ろうと思う次第だ。

復帰

隊長のような正直な方に会えるとは嬉しいですな。この世は嘘で満ち溢れておりますぞ。郷里に戻り我が知見を世に出そうと、書記を雇い写本を数部作り、売れるのを待っておったのです。するとなんと大学では古めかしいガレノス派ばかりで実地の医術には関心が無い。

書肆ときたらさらに酷くこれほど破廉恥な輩は未聞ですぞ。章ごとに写本を学生に貸して書写させてしまい、半数は戻ってこないし、 戻ってきたのはワインがこぼされた跡がある始末。

かくて我が写本でまともに揃っておるのは一つも無くなった次第です。諦めてはおりませんが、なにより先立つものが必要なのです。軍医の必要はございませんかな?

帰郷

ご参考までに申し上げるが、我らは、我が医術が赫々たる成果を収めた地を通っているのですぞ。

アルメッラ城の領主が腫れ物をわずらい、ウクスカル出身の医者に頼ったのだ。その医者は大学出にありがちなのだが、ガレノス派の療法を試みた。

ガレノスは腫れ物には太陽の金属、つまり黄金を使うことを勧めておる。いやはや、ガレノス派の著作など古のカルラディアの皇帝の時代に書かれた時から使い物にならなかったし、今となっては輪をかけて役立たずだが、それでも時には正しい療法が載っていることもないではない。

金は少量用いれば腫れ物を治すのは事実だ。だが、大量に飲めば毒にしかならぬのだが、凝り固まった連中は分かろうともしない。

毒となるか妙薬となるかは服用する量次第です。万人に大ジェレムスから聞いた知恵として触れ回ってもよろしいですぞ。世間じゃ、古のカルラディアで医学は既に完成したと思っているようです。

帝土のあらゆる書庫をあわせたよりも、村の産婆や自然を注意深く観察した方がはるかに知恵を得られるものです。この確信ゆえに私は大学を追われたのだが、今となってみればかえって幸いでした。

まぁ、いずれにせよ領主を治療し、褒美に金一袋と処刑されたてほやほやの遺体を腑分けに下賜された次第です。なんともはや、かつては標本を手に入れるのに遥々遠くまで出向いていたものですが。

海を渡って参った。医術を求め世界を旅しておる。

統治権

あなたなら素晴らしい王になると確信していますよ、隊長。私は自分が正しい判断ができる人間だとうぬぼれていますが、その私が見るところ、あなたは自らを王と称する者たちよりも、はるかに優れた慈悲の心を示ししています。

もちろんです、隊長。ですが、私がこの地で学んだことがあるとすれば、カルラディア人はひどく先例にこだわる人々だということです。全てが過ぎ去りし古き帝国の日々になされたようになされねばならないのです。たとえ100冊の古代カルラディアに関する年代記を読んでも、それ以上のものは見当りません!

ヴェルカの商人は娘を「帝国式」で嫁がせる。リヴァチェグの牛飼いは「帝国風」バターを作る。そしてもちろん、全ての国王は「帝国法」に則って戴冠しなければなりません。

興味深いな。続けてくれ・・・。
もういいよ、閣下。伝統とやらは馬鹿にするまい。

ですがご存知ですか?王位の継承についての「帝国」法は無いのです。時には皇帝は息子に帝国を譲り渡しました。時には彼の将軍たちに分け与えました。時には皇帝は晩節を汚しました。{国王/王や女王}が王冠を得るための正しい「カルラディア的」な様式は無いのです、そうであるならば、王冠はもっとも相応しきものに与えられるのが道理であり・・・

当然、あなたに与えられるべきなのです。二週間ほど時間を頂いて、それを証明する論文を書けば、模倣者が国中の酒場に張り紙をしてくれるでしょう。この考えはいかがでしょうか、隊長?

隊長。聞いたのですが、クレティを貴顕の方々の元へ、ある種の大使として向かわせたとか。あなたのためとはいえモラルの欠けた少女が、彼らとどんな約束をしているかと思うとぞっとします。彼らが「古の特権」などと称す、ありとあらゆるひどい道楽に名誉を与えるやも。

そんなことになったら、あなたがカルラディアを血まみれの歴史から救い、新たな平和と知性の時代へと導いてくれると期待している我々を失望させることになります。平和、それ以外は申しません。

お望みでしたら、隊長、今ではハルマールの領主に雇われている、私の弟子を訪問する時間を費やすにやぶさかではありません。彼には大いに期待していたのですが、その冷えたエキスが黄疸の胆汁を相殺するというので、最近マスクメロンを中風の治療に用いるのに賛成したと聞いています。

これはこっけいな施術ですから、誤りを正すためにすぐに向かわなくてはいけません。お望みならば滞在中に、あなたが興味を催すかもしれない、サラン朝での最近の風潮をたずねてきましょう。

領地を与える

さて、{陛下/女王陛下}、私は王が封土としての土地を持ち続けるのは好ましくないと考えていると、あなたにお知らせしておきましょう。元首の監視下から離れている農民や地主は、自らの手で自身の仕事を管理すべきなのです。

言われているように、カルラディアは現在の社会的秩序を頂点に向けるために、あまりにも多くの流血を私たちの目から遠ざけてきました。その地をお与えください、私は明るい未来を用意するために努力いたしましょう。現在の世代にはかなわずとも、おそらくは次の世代ために。

やはり、戦わねばならぬようですな。私は、{閣下/奥様}、あなたを裏切ったわけではないと知っておいて頂きたい。私は人に仕えたわけではなく、あなたの掲げた信念を信じたから仕えたのです。あなたがもはや信念を捧げぬというのなら、私はあなたを止めるために全力を尽くさねばなりません。

ですが、私はあなたに敵意を抱いているわけではなく、いつの日が友人として出会えることを望んでいます。