グレイマンの戦術

シドレンコ(ロシア・マフィアのボス)暗殺作戦

grayman deadeye 暗殺者の復讐より

警備が厳重なシドレンコ邸宅侵入する方法として、ジェントリーは上空から侵入を計画する。
マイクロライトプレーン(超軽量の三輪車トライク型ハンググライダー)による無音接近。同機で300メートルまで上昇し、エンジンを切って追い風滑空のみで移動することによって、上空から無音で邸宅に接近できる。

ジェントリーは、シドレンコ邸宅の警備が多い土曜の夜にこの暗殺計画を実行する。普段の警備は20人だが、この日は40人以上がお祭り騒ぎになっており、武装した人間が酔いつぶれ、敷地内に集団思考にかかる。まともな頭の持ち主なら、こんな夜にシドを襲いにくるはずはないと思い込むことを狙って実行する。

このジェントリーの飛行侵入は完璧で、無音かつ誰にも見られることなく館に侵入した。しかし森に乗り捨てたハンググライダーの残骸を警備のごろつきに発見され、シドレンコに通報。病的に用心深いシドレンコは即グレイマンが邸宅に侵入したと確信し、全館に警報が出される。

ジェントリーは寸での差で警備が集まる前に待ち構えるシドレンコを発見し、即射殺に成功するが、脱出計画は頓挫する。ジェントリーは適当な窓から館に逃げ出すはずだったが、シドレンコは病的に用心深く、全ての窓に鉄格子がはめられていた。館内の警備は警戒態勢に入っており、隠密脱出が望めなくなり、ジェントリーはプランB(強行脱出)を実行する。

飛行中に、花火にリモコン発火具をつけ落とて落としておいた物を発火。光と大音響を発し錯乱させ、その混乱に乗じて、敵をなぎ倒しながら脱出を狙う。ジェントリーの決死の奮闘により混乱を助長させ、辛くも邸宅を脱出。

ジェントリーは暗殺後の逃走も念入りに計画しており、シドレンコ邸宅の警備が犬を連れているのを知っており、臭いでの追跡を阻止する装備をつんでいた。体臭を九〇パーセント遮断する銀色の裏がついた服をいちばん下に着て。さらに、バックパックからフリーザーバッグを出して、腐りかけた熊の生肉を六切れ出した。走りながら、それを四方に投げた。犬が肉に気を散らされるのは短いだが、わずかに残っていた臭跡がかすかになり、たどれなくなることを狙ってのものだそうだ。

このシドレンコ暗殺作戦は、グレイマンシリーズではおなじみの展開である。ジェントリーがどれだけ完璧な戦術を計画しても、相手もむちゃくちゃな強敵で、途中で頓挫する。最強の兵士であるジェントリーが土壇場の対応力を発揮し、決死の行動を余儀なくされるのだ。

作者マークグリーニー氏は世界最強の小説家なので、その作風もとてつもないものである