焼却施設勤務最後の日は台風に見舞われた。出勤前に確認したところ小田急が止まっていたので、検索でバスのルートが使えたのでそれで出勤することにした

付近の道路が増水で土砂がまじった水が勢いよく流れている。一瞬流されるんじゃないかと思ったが、足を取られる程度ですんだ。バスもすごい遅延しており、結局出勤時間は3時間ほど遅れた。大雨の中、5時間くらい出勤に費やしたことになる

ここまでして出勤する必要あるのかと思ったが、台風の時の命令は来ていない。家でごろごろしていたら、さぼったとみなされる可能性がある。とりあえず7時に電話して、夜勤班に遅れて出勤する旨を伝言した

出勤しても予想通り大した仕事はなかった。遅延証明書をプリントして午前中は終わり。午後はいくつか仕事があった。

被灰の清掃というキツイ仕事で、逆にありがたかった。何もしてないと逆に心配でいてもたってもいられなくなる。汚れ仕事をしている限り、さぼっていると思われる心配はない。汗を書きながら灰の掃除を永遠と続けていた。肉体的にきついのは休めばすぐに解消されるのはわかっている

私物を持ち帰る猶予は少なかったが、前日までで何とか苦労して持ち帰っていたので、大雨でも何とか帰れた。振り返れば最後の出勤日も何もなかった。特別な会話も一切なく、明日から自分がいなくなることを知らないようだった。だが契約更新をしなかったのは、同僚や上司たちの総意で決めたことだ。「この派遣はちょっと仕事が頼めない、更新を断わったほうが良い」

それについて一切蒸し返すことなく、跡形もなく消えたほうが良い。4カ月半ほど務めていたが、思い返せばいつもと変わらない。能力不足で切られて跡には何も残らない。帰った後気分が落ち着くことはなかった。無期雇用の派遣会社に居座る方法をずっと考えていた。退職勧告を出されているが、法律上はそれを拒否して居座ることができる。懲戒に当たる出来事がないからだ

不安で居ても立っても居られない。本当にそんなことできるんだろうか?派遣会社は全力でやめさせようとしてくるはずだ。恐ろしくて心細くてならない。派遣にも営業にも非が無いこともわかっている。それなのに恩をあだで返すようなことをしようとしている

持ち帰った私物がアパートにあふれていて、片づける気力がわかない。これからのことを考えると暗澹たる気分になる