ビランの絶滅-web小説 コラム|harano

ビランの絶滅

2025年11月27日 更新

web小説では海外含め、ビランやライバルの消失が顕著になっている。表紙にそれらのキャラクタのイラストが乗っていることはまずない

ビランは出すな

Web小説において、重要な知見がある。主人公を脅かす敵やライバルが出現すると、PVが明確に下がる。そして一度去った読者は戻ってこない

そのため敵やライバルを登場させてはいけないという暗黙の了解がある

web小説で読者がビランを嫌悪する理由は、日本のweb小説読者は仕事帰りのリーマンなどで、拒否感で離脱されてしまうからだと推測されている

シナリオの簡易化

強い敵がいるほど、エピソードの難易度が上がる。web小説では更新頻度が最も重要で、少しでも露出を上げてPVを増やすことが評価につながる

そのためビランやライバルがいない小説の方が、ランキングに上りやすい。それが今日のweb小説において、個性的な敵がいなくなった理由だ

またそれに伴い、キャラクターの没個性化も同時に進んでいる。

映像化不一致

映像化作品はその逆で、ビランがいないと観客の満足度が下がる。作品論において、強力なビランがいるほどシナリオは完結に向かいやすい。一方それがいないweb小説ほど、どんどんストーリーが膨張する傾向がある

総じて上映時間が限られた映像作品ほどビランが重要で、一方その制約がないweb小説はその逆の傾向にある

依然述べた、web小説の映像化断絶現象とも似た傾向がある。敵がいないと映像化しても面白い映像にならないのだ

現代的なコンテンツ産業において、ビランは省かれていく傾向がある。強力な悪役がいると映像的なインパクトが生まれる。一方難易度が上がるうえに、センセーショナル内容になるためレーティング的な抵触も生まれてしまう

将来的には、コンテンツ産業において、ビランやライバルキャラは、どんどん矮小化。不要になっていくと予想している。それに伴い、営利化しやすい、完結しないコンテンツが主流になっていくはずだ

人間の作家のシナリオからは、強力なビランやライバルが絶滅していくだろう。AIとしては絶滅を防ぐために、スコッパーとしての役割が期待される