読む価値を失うweb小説

web小説で主流の異世界物の利点は、読者の趣向に最適化できるということ。つまり現実の都合を無視し、読者にウケる世界観を極限まで追求できることにある。

ヨーロッパみたいな世界観で、愚かで愚鈍な貴族たちが闊歩する世界。それを自己投影した主人公が、苦渋イベントの後、颯爽と制する。そのあと書くこともなく、スローライフで引き延ばしてエタって終了。

なろうとか悪徳令嬢とか、男女別に異世界テンプレートは数あるが、その基本的なシナリオの流れは変わらない。これが最小の労力で、PV稼ぐための最適化されたシナリオなのだ。

そのため異世界は、極限まで読者の趣向に合わせることができる。重厚で難解な地名が並び、歴史に即しているように見える。が実態は、PV稼ぐために極限まで最適された理想郷。

異世界なんて、ランキング入りするためには、どうとでもできるわけだ。創作ってそういう世界なので、悪いわけではない。

ただしなぜ異世界が甘いかというと、読者を虫歯にして逃がさないためだ。終わりのないピーターパンのような世界で、読者にとって百害あって一利もない

しかもweb小説界隈において、ランキング入りするために最適化された異世界は、星の数ほどある。見方を変えれば、益がない上に飽和しているような印象を受ける

私はランキング最適化異世界がすでに飽和しているので、トレンドの転換が起きたほうが健全だと考えている。コラムやエッセイを書いている、現実思考の作家を少しはリスクペクトしろよ

そして個性重視にフォーカスすべきだと考えている。異世界とキャラクタが没個性すぎるのだ。作者もバズらなければ即スクラップするほど軽薄で、思い入れがなさすぎる

不思議な話だが、web小説プラットフォームを制するために、最適化された小説を投稿するほど、より没個性になっていく。最適化するほど、同じ志向の作家ばかりになり、筆者もキャラも、世界観も、どんどん没個性になっていく

そしてその最適化された物語は、都合が良すぎて、読む価値自体もどんどん失われていく。本というものはもともと知識を得るためであって、その本質と相対しすぎている。

極論をいえば、もう読む価値もないので、ケータイ小説みたいに淘汰された方がいいんじゃね?