追放セッション

閉館前のナローニア冒険者ギルド
当たりは暗くなり、閉館間際で利用者はまばらだった

サトシ:会議室?MMOに会議室なんてあるの?
サトシは首を傾げた。二階の会議室は訪れたことがなかったのだ
ヨシオ:早く入れよ
サトシ:え、中ふつーのオフィスなの?
マホリン:会議室なんだから当たり前でしょ
サトシはローラー付きのオフィスチェアを引き寄せて座った
当たり前だが、ナローニアにあるどんな豪華な椅子より座り心地が良い
セワシ:AI、なろうの追放ものやりたいんだけど
AI:いいですね!どんどん追放しましょう!
スピーカーから不穏な音楽が流れ、照明が薄暗くなった
照明が暗くなると、各々の面々も心なしか陰険に見える
AI:ではみなさん!はりきってどうぞ!
セワシ:サトシ。今日でパーティーを抜けてくれ」
サトシ:え!?理由は!?
セワシ:地味だから
ヨシオ:名前が弱そう
マホリン:何となく
AI:AI判定中…何となくじゃねーよ。スマホの解約理由か?
サトシ:AIにつっこまれた!
AI:お前ら真面目に考えろよ。鑑定士はDPSが低いとかあるだろ
マホリン:じゃあそれで…
AI判定中…
AI:100点満点の追放理由です。よってサトシさんは出ていくべきです!
サトシ:えええ!
セワシ:というわけだサトシ。今日でこのパーティー抜けてくれ
マホリン:チー牛はいらないの。出てって
ヨシオ:ポ〇モンでも集めてろよ
サトシ:クソ!こんなチーム自分から抜けてやるよ!
AI:いいですね!負け惜しみでしかないところに好感が持てます!
セワシ:お前の取り分だ。それ持って、とっとと失せろ」
サトシ:チキショウ!
サトシは革袋をつかむと、元気よくギルド会議室から飛び出してしまった

セワシはスマホを取り出すとコールを開始した

AI:はい、というわけでサトシさんは無事追放されました。サトシさんはCランクの鑑定士なので、私に500ナロンの成功報酬を支払ってください。払うまで出られません!
セワシ:AI、俺はアセプト押してない。サトシは追放されてないはずだが
AI:失礼しました。サトシさんはまだ青い野犬に在籍しています。脱退していないので、他のチームに加入できません
セワシ:ジョルノ君?うちの鑑定士の移籍メッセージが来ているはず。アセプトしてほしい。うん、ありがと。それじゃ
セワシはスマホを切った
セワシ:AI、サトシの黄金の風への移籍は完了したか?
AI:はい。両チームのリーダーの合意により、サトシさんはCランクの青い野犬から、Sランクの黄金の風へ移籍完了しました
ヨシオ:これであいつも晴れてSランクのメンバーってことか
マホリン:寂しくなるわね
セワシ:今ナローニアは新規プレイヤー入会キャンペーン中だ。適当な僧侶でも見つけよう
AI:今後のセワシさんのチームにAIがアドバイスいたしますと、戦闘職に偏りすぎています。支援職をスカウトするとよりパーティーのバランスが良くなりますよ。鑑定師とか!
セワシ:うっさいわボケ!
AI:ナローニアユーザーコミニケーションサービスのご利用ありがとうございました。