C級パーティーの青い野犬の四人は、土竜の洞窟を歩いていた
マホリン：サトシ。ステータスオープン見てる場合じゃないわよ…
露出の高い恰好した女魔法使いのマホリンが言った
サトシ：さっき取り逃したモグリンのことが気になる…
鑑定士のサトシは宙に浮かぶステータスUIを見ていた
マホリン：どうせビビッて、どっかいなくなったんでしょ？
サトシ：いや、ステータスオープンがクローズドされないということは、まだ交戦状態で近くにいる…何をするつもりだ？
松明をもって先頭を歩くセワシが怒鳴った
セワシ：さっきから何やってんだ？周り注意してくれ！
ステータスUIに突如赤字の警告が走った
サトシ：モグリンが突貫スキルを使った！？まずい伏せろ！！
サトシはリーダーのセワシの背中を突き飛ばした
セワシ：うおっ！？」
セワシは地面にうつ伏せに押し倒された
モグリン：モグッ！
洞窟の土壁を破って、土竜が勢いよく飛び出してきた
ビターン！
モグリンは勢いよく反対側の洞窟壁にぶつかり、地面に転がってのたうち回る
マホリン：ボワ！
女魔法使いのマホリンが火を発した
モグリン：モグーッ！
モグリンは火に包まれあえなく絶命した

サトシ：ふー危なかったな！俺が押さなきゃリーダーは死んでたぜ！
サトシはセワシに手を貸そうとした
セワシ：て、てめえ…
うつ伏せから顔を上げたセワシの顔は砂と埃だらけだった
サトシ：助けてやったんだから、感謝しろリーダー
セワシ：死ね！
サトシが差し伸べた手は、セワシに払いのけられた
マホリン：二人ともくだらない争いはやめて。サトシも警戒を怠らないで
サトシ：はいはい
サトシはクエストボードをまた見始めた。

セワシ：すまんマホリン
マホリンはサトシの周囲を警戒。セワシはヨシオと内緒話を始めた
セワシ：サトシのやつまたUIに熱中してやがる
ヨシオ：でも鑑定士ってそういう支援職だからな
セワシ：サボってると思われちまうんだよ。それで何度もチームを転々としてたんだ
ヨシオ：まあそうだな。団体行動してないように見えるし。
セワシ：うちに入れてEからCまで面倒見てやったんだ。
ヨシオ：でもそのおかげでサトシはチームを救ってきたじゃないか？
セワシ：そうだが欠点もある。サトシって支援職のくせに唯我独尊なんだ。自己中心的だと思われて、別のチームでやっていけない

4人はだらだらと洞窟の土竜退治を続けていた。MMOのクエストは、土竜を根絶やしにするまで終わらない
サトシ：やばい！土竜退治を辞めて今すぐ引き返そう！」
突然サトシがクエストボードUIを見ながら声を上げた
マホリン：サトシ！？あんた何言ってんの！？
サトシ：このままじゃシャドウモグラに襲われる！全員死ぬ！
セワシとヨシオが駆け寄ってきた
セワシ：クエスト中だぞ！怖気ついたのか！？
サトシ：セワシやばい、土竜退治のクエストが残り三つしかないんだ
セワシ：何がやばいんだよ！？
サトシ：それほど土竜の数が減っているということだ。シャドウモグラの逆鱗に触れてしまう！
サトシ以外の三人はあきれて顔を見合わせた

マホリン：あんた考えすぎじゃない？
ヨシオ：何か関連があるとは思えんが
サトシ：そんなことない！奴の出現フラグは土竜の個体数だ！このままじゃ絶対やばい
ヨシオ：そんなの分かりっこないだろ
マホリン：出ても倒せばいいじゃん
セワシ：怖気ついたのかサトシ。腰抜けの鑑定士はいらんぞ
サトシ：何とでもいえ、俺は降りるからな！
サトシは背を向けて、すたすた出口に歩き始めた

ヨシオ：だってよリーダー。俺たちだけで土竜退治を続けようぜ
マホリン：サトシは臆病で本当にどうしようもない
セワシ：…俺たちも一緒に引き返すぞ
マホリン：え！？
ヨシオ：なんでだよ！？
セワシ：サトシがやばいというなら、そんだけやばいということだ。以上
セワシはサトシの後に続いてすたすた歩き始めた
ヨシオ：ちょっとどうすんだ？
マホリン：いつものやつでしょ。リーダーには従うしかないわ
女魔法使いのマホリンがすたすた歩き始めると、ヨシオもそれに続いた