ジョルノ:全員そろったか?では出発」
人里離れた山道を進み始める四人
サトシ:おいどこに行くんだ?今日のクエスト内容はまだ聞いてないぞ
ジョルノ:すまない忘れていた。今日簡単なD級土竜討伐クエストを受ける。理由はトレーニングのためだ
サトシ:事前にミューティングもしないなんて、完璧主義のあんたらしくないな
ミスタ:気張るなよサトシ。クエスト内容を聞いたろ?ミューティングなんかいらないような楽なクエストだ
トリッシュ:あんたは知らないかもしれないけど、時々黄金の風は簡単なクエストでトレーニングしているの
サトシ:スポーツ選手の自主トレのようなものか?
トリッシュ:そういうこと

サトシは妙な胸騒ぎがした。MMOで簡単なクエストでトレーニングするなんて聞いたことがなかった
サトシ:ステータスオープン…対象は自分
自分のステータスにはあと60分後に自分は死ぬと書かれている
サトシ:今日俺は死ぬ…だと!?いったいなぜだ…

サビレタ鉱山内部
前方の通路にモグモグが地面から鼻を出してヒクヒクしていた

ジョルノ:見張り役のモグモグに近づくと、モグタンとモグリンが飛び出してくるはずだ。
ジョルノ:サトシ。君がモグモグに近づいて、囮になってもらいたい
サトシ:俺か?しかし鑑定士の俺が囮になるのか?
ジョルノ:ああ。君は危険を察知できるからな
トリッシュ:頼りにしているわ
ミスタ:俺は側面に回る

配置が終わって慎重にモグモグに歩みを始めるサトシ
トリッシュ:気を付けてねサトシ
サトシ:俺は大丈夫だ。何とかする

背後でジョルノとトリッシュがひそかに会話する
トリッシュ:…サトシが行ったわよ
ジョルノ:予定通りだ。モグタンが突進してきたタイミングで、背後からサトシを奇襲する。つまり挟み撃ちだ
トリッシュ:ジョルノ。あたしたちが手を出さなくても、サトシはモグタンにやられるんじゃ
ジョルノ:ダメだ。奴にはキングクリムゾンがある。ミスタ、準備はいいか?
通信機を介してミスタが応答する
ミスタ:ああ。モグタンが飛び出して来たら、サトシに向かって側面から狙い撃つ
トリッシュ:サトシのやつは三方向から攻撃されるわね
ジョルノ:いくらやつとて生きていられまい
ジョルノとトリッシュは剣を持って、ひそかにサトシに忍び寄っていた

モグモグのヒクヒクする鼻のまじかまで迫るサトシ。すると…
ブモー!!
地響きと共にモグタンが猛然と正面から突進してきた
モグタンがサトシの目前まで迫る
同時にミスタが発砲し、ジョルノとトリッシュが背後から切りかかった
その瞬間
サトシ:キングクリムゾン!俺が攻撃された過程は消し飛ぶ!
:え!?」
ジョルノとトリッシュは目を見張った
気が付いた瞬間モグタンが目の前に迫っている
ジョルノとトリッシュはモグタンの巨体に巻き込まれ、下敷きになって地面を滑った
しかしモグタンはミスタの弾丸が体に命中し、巨体も制御を失って、勢い余って転倒していた
サトシ:は!?」
サトシは背後振り返ると、横たわるモグタンの巨体。それにジョルノとトリッシュの姿が見えた。

ミスタ:ギャアー!!
モグリン:ピギー!!
洞窟に発砲音が響く
サトシ:ミスタ!?
発砲音がした方向に向かってサトシは急いでかけた
ミスタは顔面にモグリンが飛びついて地面に悶えていた
サトシ:クソ!
サトシは急いでミスタに駆け寄ると、顔面のモグリンをわしづかみにして引き離した
ビターン!!
サトシは思い切りモグリンを地面にたたきつけた
顔面にモグリンがくっついたミスタは、瞳孔が開いたまま死んでいた(ヘッドショットで即死扱いされた
サトシ:ミスタはKIA(戦闘中に死亡したことを伝える軍事用語)!

サトシは振り返ると、はるか後方で倒れているジョルノとトリッシュのほうに走った
しかしジョルノとトリッシュも息をしてない(軽車両の交通事故にあった扱いにされた
サトシ:おいしっかりしろ!何が起こったんだ!?
突如サトシにアラートの音が鳴り、警告ウィンドウが表示された
AI:タイムスパイラル検知。サトシさんの強制召喚プロセスを開始します。
サトシ:え!?何してる、やめろ!?
AI:ユーザー側はこれを拒否する権限はありません。10秒前
サトシの目の前にプロセスバーが表示され、どんどん短くなっていく
AI:7、6、5、4、3…
サトシ:やめ…
サトシの姿がふっと消え、当たりは静寂に包まれた