VRトレーニングルームにいる黄金の風一同
ミスタ:サトシ、お前未来予知ができるが、それだけじゃ戦力にならない。攻撃スキルがないとな
ジョルノ:そこで君が活躍できる方法を考えた。pullをやってもらう
サトシ:pull?
ジョルノ:敵の動きは単純で、見つけた相手を攻撃するだけなんだ。逆にそれを利用して、敵をおびき寄せることもできる
ミスタ:まあ逃げ回る囮ってやつだな
サトシ:ふーん…
ジョルノ:サトシ、君は回避のほうは自信あるか?
サトシ:やったことないからわかんない
ジョルノ:それはいけない。じゃあ回避訓練を受けてもらおう
サトシ:え、うん…
ミスタ:おっしゃあ!俺はこれがやりたかったんだぜ!
ミスタはレバーアクション式の玩具銃を取り出し、カラフルなスポンジ弾を詰め始めた
サトシ:ところでこのVRトレーニングルームってなに?なんでそんなおもちゃ銃があるの?
ジョルノ:ここってFPSによくある射撃訓練場なんだ
ミスタ:で、お前が的ってことだ。わかりやすい説明だろ?
サトシ:え!?
ジョルノ:サトシは最初の白線の上に立て。そこがミスタと10メートルの距離だ
サトシは言われた通りラインに立った。
黄金の風の三人は腕を組んでスタイリッシュで、Sランクらしい堂々とした威圧感を感じる
ジョルノ:サトシ、これからミスタが君のおでこを狙う。
サトシ:え!?
ジョルノ:サトシは瞬きするな、かわそうとするな。ミスタは正確に狙えよ
ミスタ:俺が外すわけないだろ
ジョルノ:ミスタ撃て
ポン!
サトシ:いってえ!
サトシのおでこの真ん中に赤いあざができた
ミスタ:この距離じゃ外しようがないな
ジョルノ:サトシ、VRには便利な使い道もある。痛みだけで発砲される恐怖を体感できる。この程度でビビるような奴は戦場では役に立たない
サトシ:ひどくない!?
トリッシュ:スポンジ弾であざができただけでしょ?遊んでるようなものよ
ジョルノ:まあそうだ。ミスタ、続けろ
ミスタ:よかったなサトシ、弾丸をただでプレゼントしてやるぜ
ポン!ポン!
サトシ:ひえええ!
サトシは背中を向けて身をかがめた。
サトシの背中の衣類にスポンジ弾がポンポンぶつかる
トリッシュ:なさけないサトシ
ミスタ:チッ!もっと強力な銃はないのか?
ジョルノ:ない。ミスタは休め。サトシは僕の話を聞け
サトシは涙目で顔を上げた
ジョルノ:わかっただろう?スポンジ弾の威力なんてこの程度だ。
ミスタ:服に当たれば、痛くもなんともねーだろ
ジョルノ:だからもっと強気に目で見てかわそうとしろ
サトシ:だって怖いじゃん…
ジョルノ:未来予知があっても、冷静に状況を分析しないと、攻撃はかわせないぞ
サトシ:わかった…ちょっとまってHUDを変えるから!ウェポンアラートをだす
トリッシュ:なにそれ?
ジョルノ:銃口を向けられたとき、画面上に赤色のアラートを表示するオプションだ
ミスタ:俺が銃口を向けてるなんて、みりゃわかるだろ?
サトシ:ミスタ拳銃を俺に向けてみて
ジョルノ:めんどくせー野郎だな
サトシの視界に黄色のアラート。その下のファイアカウントダウンは残り5秒で停止したまま
サトシ:黄色、まだ撃たれる兆候がない…やってみるか
ミスタ:とっとと済まさねーと撃っちまうぞ
サトシ:いいよ。撃ってみろ
ジョルノ:ミスタ好きなタイミングで撃て
ポン!
サトシはしゃがんでかわした
トリッシュ:あ!かわした!
ジョルノ:ミスタは二秒のディレイフェイントを入れた。よく読めたな
ミスタ:まぐれだろ!?
サトシ:いや今のは完璧読めてた!
ジョルノ:サトシ、君には未来予知がある。10メートルの距離で、正面から撃たれる分にはかわせる。だから…
ポン!
サトシ:ぶっ!
ミスタ:何よそ見してんだ?
サトシ:いったあ…
ほほを抑えて涙目になるサトシ
トリッシュ:はは、まぬけね
ジョルノ:そう。不意打ちは食らうともっと痛い。痛み・恐怖・瞬発動作は回避の訓練に欠かせない。ミスタ、レバーアクションのおもちゃ銃の連射力はどれくらいだ?
ミスタ:この距離なら絶対に外さねえが、俺の腕でも一秒に一発が限界だ
ジョルノ:丁度いいだろう。サトシ立て。準備はいいか?
サトシ:いや…ちょっとまって…
ジョルノ:ダメだ敵は待ってくれない。アドバイスするが、同じ場所に当たるともっと痛いぞ。ミスタ10分間好きなようにサトシを撃て。弾丸はおいておく
ミスタ:アイサー
10分後
ジョルノ:10分立った。二人とも休憩しろ
ミスタ:うーい
サトシ:はあ、はあ…
トリッシュ:サトシ、飲み物はあっちで買えるわ
ジョルノ:AI、サトシの回避率は
AI:30パーセント
ジョルノ:うーん。正直上出来だ
ミスタ:上出来かよ!?
ジョルノ:この距離にしては上出来だ。ただ実践では死ぬな
ミスタ:リーダー。おもちゃの銃じゃ面白くねえよ。当たっても痛くねえしな
ジョルノ:そうだな。少し緊張感が必要だ
ジュースを飲んで、休んでいるサトシに近づくジョルノ
ジョルノ:サトシお疲れ。かわせる自信はあるか?
サトシ:弾は見える…でも体がついてかない
ジョルノ:だろうな。弾丸を動いてかわすのは、ちょっとしたスポーツだ
サトシ:ちょっと休んでてもいい?疲れた
ジョルノ:そうだサトシ。暑いんじゃないか?服を脱げ
サトシ:え!?
ミスタ:ああ俺もそっちのほうがいいと思う
トリッシュ:三人とも何やってんの?
サトシ:でも別に脱がなくてもいいかな…
ジョルノ:ダメだ。もっと体を軽くしないとかわせない
ミスタ:だな。服に当たっても痛くねえしな
サトシ:えええ…
ショーツ一枚に着替えたサトシ
サトシ:素肌に弾丸当たるとめちゃくちゃ痛いんだけど…
ミスタ:当たんなきゃいいだろ
ジョルノ:君は未来予知で弾丸が見えているようだが、瞬発力と持久力が足りてない。
トリッシュ:緊張感も足りてない。実戦で矢なんか当たったら死ぬのよ?
サトシ:そんな無茶な…
ミスタ:とっとと始めるぞ
ポン!
サトシの胴体めがけてスポンジ弾が飛ぶ
サトシはとっさに体の側面を向けてすり抜けた
トリッシュ:かわせてるじゃん
ジョルノ:すごい…あのかわし方は弾丸が予知できないと無理だ
ミスタ:クソッ!
ミスタはレバーアクションで三連射した。
サトシは体を必死に動かして、すべてかわした。
ゴロン
サトシは横方向に地面に転がって弾丸をかわした。
これは弾丸をかわす最も有効な回避。だが地面に転がって、動きが鈍ったところを狙い撃ちされた
サトシ:いってえ!
サトシは地面にうずくまった
ジョルノ:止まるなサトシ!動かないと狙い撃たれるぞ!
サトシ:そういわれても、地面が固すぎ…
ジョルノ:AI、トレーニングルームの地面を芝にできるか?
トレーニングルームの地面が芝生に変わった
ミスタ:よかったな。ジョルノからのプレゼントだ
ジョルノ:二人とも10分トレーニングを続けてくれ
トリッシュ:サトシはかなりかわしてるんじゃない?
ジョルノ:ああ。7割以上かわしている。体力さえ持てば申し分ないが…