NVRのリゾートシェアハウス
リビングのテーブルの上に、色とりどりのポーションが、テーブルの上に6本並べられている
その中の一本は”爆発危険”と、手書きのラベルがセロテープで張り付けてある
ジョルノ:これからナローの抽選を成功させるラックポーション作戦を説明する。準備はいいかい?
サトシ:うん
ジョルノ:ナローニア中から買い集めた、店売りのラックポーションが5本ある。全部飲めば抽選確率は10%上がる
サトシ:うん
ジョルノ:この爆発危険と書いてある試作ポーションは、一本で抽選確率は10%上がる。ただし効果は10秒しか持たないし、そのあと爆発する
サトシ:うん
ジョルノ:つまり全部飲めばナローが成功する確率は21%になる。残り79%は死ぬ。わかったかい?
サトシ:わかった
ジョルノ:次に段取りを説明しよう。まず君にステータスオープンを実行し、ナローの抽選の結果を可視化する。
サトシ:ステータスオープン
サトシのステータスが表示される。
ジョルノ:ミスタ。ナローを装填したクロスボウをサトシに向けてみろ
サトシのステータスオープンに、サトシは5秒後に死ぬと表示される
ジョルノ:これで段取りは終わりだ。君はラックポーションすべて、試作ポーションの順番に飲む。
サトシ:うん
ミスタ:それで未来予知とやらで、成功の判定が出たら、俺がサトシの心臓にズドンだな?
ジョルノ:そうだ。ポーションを飲んだら後に引き返せないぞ?覚悟はできてるか、サトシ?
サトシ:うん…
サトシは正直気後れしていたが、ジョルノたちがぎらぎらした目つきで睨んできて、断りづらかった
こいつらは途中で”やっぱりやめた”などと言ったら、ヘタレなどと言って自分を罵るだろう
ミスタ:よし!サトシとっととラックポーション飲めよ。
サトシはラックポーションのふたを外してごくごく飲み始めた。
これと言って味も匂いもない。ゲームの世界なので、ポーションの味が未設定なのだ
ジョルノがサトシのステータスを見ながら言った
ジョルノ:ダメだ。君の幸運は+2で、成功確率は3%。だが成功の判定が出ない
ミスタ:つーわけで、残りのポーションも飲めよサトシ
5本のラックポーションをすべて飲み干すサトシ
ジョルノはサトシのステータスを凝視している。
しかしジョルノは首を振って、大げさに手のひらを振った
ジョルノ:ダメだ。君の幸運は+10で、成功確率は11%。だが成功の判定が出なかった
サトシ:やっぱダメか…
ミスタ:ダメじゃねえだろ。お前が買ってきた試作ポーションが残ってるな?
サトシ:うん…
サトシは最後に残った試作ポーションを見た。”爆発危険”とラベルが張ってある
ミスタ:サトシ男だな。俺はそんな怪しいポーション飲む勇気ねえわ
ジョルノ:その試作ポーションは、飲むと爆発50ダメージうけるらしい。あまり薦めないが
ジョルノたちがサトシをにらみつけてくる。”男らしく飲めよサトシ”と無言の圧力をかけているのだ
サトシ:おれ試作ポーション飲むよ…
ミスタ:さすがサトシだぜ!
ジョルノ:勇気ある決断だ!立ってくれサトシ
サトシは立ち上がった
ジョルノ:その試作ポーションは10秒しか効果がない。飲んだあと成功の判定が出たら、すぐにナローで心臓を貫かないとならない。ミスタわかってるな?
ミスタ:ああ。ばっちり構えとくぜ
ジョルノ:サトシはミスタに背中を向けて立て。胸骨は扇形に湾曲しているから、胸に当てると心臓からそれる可能性がある
ミスタに背中を向けて立つサトシ。ミスタにガンつけられるよりも、威圧感が和らいだ
ジョルノ:じゃあいつでも飲んでくれサトシ
サトシは冷や汗をかきながら試作ポーションに口をつけた
これから注射を打たれるような、恐怖とプレッシャーを感じる
ジョルノはサトシのステータスオープンを目を皿にして凝視していた
ジョルノ:成功判定だ!うてミスタ
バシュ!
クロスボウの鋭い発射が鳴り響いた
ドン!
サトシはクロスボウで射抜かれた勢いでうつ伏せに倒れた
地面に横たわるサトシは口から血が流れた
トリッシュ:死んだの…?
ミスタ:おい何とか言えよ…
突如サトシの目がぱっちり見開いた
サトシは床に手をついて、がばっと起き上がった
サトシ:いや全然なんともないじゃん!成功だ!
トリッシュ:うそでしょ…?
サトシに駆け寄るミスタ
ミスタ:おいまじかよサトシすげえな!
ジョルノ:おいみんな離れろ!爆発するぞ!
ミスタ:え!?
ジョルノはとっさにテーブルの下に伏せた
ボン!
サトシは爆発して真っ黒になった
ジョルノ:おいおい10秒後に爆発するポーションだって、いっただろう?
ミスタは爆風に吹き飛ばされて、地面に転がっていた
ミスタ:いってえ…糞。そんなの覚えてねえよ…
サトシをつつくトリッシュ
トリッシュ:ちょっとサトシ大丈夫なの?真っ黒じゃん
ジョルノ:サトシは50ダメージの爆発を食らった。死んではいない。とっとと医務室に運ぼう
トリッシュ:本当世話かかるわね。
ミスタ:まあ面白かったから、運んでやるけどよ
担架に乗せられて医務室に運ばれるサトシ