サトシと豚人間

サトシは道を歩くオークに声をかけた
サトシ:おいそこの豚、俺の夕飯になれ
オーク:奇遇だな。俺もお前みたいな夕飯が欲しかったんだ
サトシ:つまりやるしかないようだな
オーク:青二才が。お互いに戦ったら共倒れになる。こういう時はAIに頼むんだよ
サトシ:AIだと!?
オーク:おいAI、どっちが夕飯になるべきだと思う
AI:回答いたします。お互いに争いはやめて、サトシさんはスーパーに豚肉を買いに。オークさんは死体置き場に人間の死体を探すべきです
オーク:へ、命拾いしたな小僧
サトシ:ふん。貴様の首は預けておくぞ
背を向けて別れる二人

次の日
サトシ:また会ったな
オーク:そうだな
サトシ:豚肉が高くて買えなかったんだ
オーク:新鮮な死体がなかったんだ
サトシ:やはりお互いに殺しあうしかないようだな
オーク:そのようだ
AI:待ってください!平和的な解決方法を模索しましょう!なぜお互いに肉が欲しいのですか?
サトシ:腹が減っているからだ
オーク:かかあと息子を食わせなきゃならん
AI:AI判定中・・・オークさんのほうが理があります。よってサトシさんが死ぬべきです
サトシ:えええ!?
オーク:よしではサトシを殺すとしよう
サトシ:よせ!許してくれ!
オーク:ダメだ。AIがそういっている。サトシを殺しても問題ないんだよな、AI?
AI:ダメです
オーク:なぜだ!?
AI:オークに人権はありません。しかもあなたはNPCなのでプレイヤーに逆らってはならないのです
オーク:なに!?
サトシ:そうなの?
AI:というわけでサトシさんは、オークさんを殺してください
オーク:よせ!俺には女房子供がいるんだ!見逃してくれ!
サトシ:さすがに殺してはまずいと思うんだが・・・
AI:ダメです。そのオークは嘘をついています
オーク:な!?
AI:そのオークに女房子供はいません。独身なのに嘘をつきました。そんな輩を生かしておいてはなりません
サトシ:本当なのかお前!?
オーク:この年で独身なんて言えない・・・だから俺はうそをついたんだ
AI:つまりオークさんはNPCで、嘘つきで、この年で独身で、生きている価値のないゴミだと結論付けられます。速やかに殺しましょう
オーク:く!殺せ!
サトシ:やめろ、早まるな!
オークの肩を腕を回すサトシ
サトシ:オーク、お前は何か落ちぶれた事情があるんだろ?いっぱいおごらせてくれ
オーク:サトシ・・・お前ってやつは・・・
酒場を目指して歩き出すサトシとオーク
AI:理解不能・・・なぜサトシは肉を求めてオークを襲ったのに、酒をおごろうとするのか・・・人間の感情は理解不能・・・理解不能、理解不能・・・ガガガ・・・
AIは壊れてしまった