Steamで配信されている、会話シーンのみの無料DLC
日本語訳がなく、どんな話なのか知っている人はすごく少ない。台詞のみの簡易日本語訳を作ったので、雰囲気を知りたければ見てほしい
このページでは私がこのDLCのあらすじを解説させてもらう。前もって言っておくが、私はこういう説教くさい話は大嫌いだし、翻訳が間違っているかもなので鵜呑みにしないでもらいたい
あらすじ
荒廃した未来世界ではクリスマス(ナタル・テイル)の風習を非効率的だとみなしていた
そこで政府主導でナタルアンテイルというアンチクリスマスイベントが行われるようになった
どんなイベントかというと、その日は自分一人だけで働き、さらにその金で自分自身に贈り物するというもの
我々のクリスマスは休日で、家族有人でプレゼントを送りあう祭日だが、その真逆になっている
で主人公のグラフはそのナタルアンテイルを学校の試験として挑戦しなければならなくなった。
グラフは頑張って働くが、うまくいかなかった
しかし友人のオットーや父親のブロクと一緒に助け合い、結果的にみんなが集まって旧来的なクリスマスを祝う
そういうハッピーエンドにたどり着くという話だ
私は、ナタル・テイルとかナタルアンテイル言われて良くわからなかった
このDLCのストーリーは、クリスマスを止めてアンチクリスマスが流行してた。でもクリスマスは良いイベントだよという結末で締めくくるという感じ
ナタル・テイル=クリスマス
ゲーム中に登場するアンテイル教団は迷信深い宗教団体で、人類の風習を尊ぶ
そのためクリスマスをナタル・テイルと呼んで信仰していた
ただしクリスマスはエネルギー消費が激しい、友人との交流がいさかいを呼び、非効率的として政府によって廃止された
このシナリオでは古き良き風習であるのナタル・テイルを取り戻したい、というものになっているよ
ナタルアンテイル=アンチクリスマス
政府が生み出したアンチクリスマスイベント(祭日名)
この日すべての若者は他人の助けを借りずに労働し、その収入で自分にとって最も必要なものを購入する
学校では試験とみなし、親や他人の助けを借りずに労働を完遂し、収入を得る必要がある
それを違反すると退学処分
説明が難しいんだが、おかしい部分がある。
アンテイル教団は政府に敵視されている、貧民の宗教団体
その癖に政府公認のイベントがナタルアンテイルと呼ばれている
つまり正確にイベント名を命名する場合、アンチアンテイルとかアンチナタル・テイルという祭日名にしないとおかしい
AIに翻訳を頼んだが、何か間違ったのかもしれない
退学処分がおかしい
物語の山場で、グラフが不正の疑いを受けて、オットがそれをかばって退学になるというくだりがある
まずなぜグラフが退学になるかおかしいんじゃないか
というのもグラフはアンテイル教の信徒のおばさんの店番を手伝い、サンテイル(サンタクロース)像が売れたら、売り上げの一割をくれることになった
それで60ユニ稼いで、アンテイル教の絵本を買った。
それでナタルアンテイルの試験は完遂したはずだ
だがなぜかクレイが不正だといちゃもんつけて、さらに教師も不正扱いしてくる
テキストに詳しい解説がなく、不正扱いされた理由がよくわからない
何がいけないのかよくわからなかったが、信徒のおばさんはボランティアのようなもので、仕事ではないとみなされたらしい(AIの推測
ただこのプロット自体は解決は難しくない。未来社会なので、雇用契約がなかったというだけでよい
でそれについてオットーはグラフをかばって、自分は不正したと名乗り出る
どんな不正かというと、親を手伝ってその見返に報酬を得たといったのだ。
これ明確なルール違反で、親や家族に頼ってはいけないとルールに書いてある
その結果どうなったのかというと、オットーが退学処分で、グラフを罷免された
普通に考えてオットーとグラフ両方とも退学にしなきゃおかしいんじゃないか?
プロット的にはオットーがグラフをかばって、その結果オットーだけが退学になる、という風にしたかったんではないか?
その結果変なことになってしまった
クレイは本当に糞野郎で、前回どうも親から金を受け取る不正をやっていたらしい
しかも今回も本当に働いて収入を得たのか怪しい
そのくせクレイはなんのお咎めも受けないので、ものすごい胸糞悪くなってくる
クレイは本編も一貫して10倍性格悪くしたスネ夫みたいなやつで、逆に感心してくる
最後Sinが独り者のRJを家族パーティーに誘う場面があるんだが、逆に気の毒なんじゃないかと思う
Sinは嫁(Dee)と娘の三人暮らしで、一方RJは友達すらいないって感じ
SinはRJを飲みに誘うぐらいでいいんじゃないか?ダメなのか?
そもそもRJはホモ達がいっぱいいるから、Sinのことなんてどうでもいい
良かった点
最後にマイナーなガード、ハッシュ博士、ミンク博士が出てくるところ良い。ミンク博士推しなので
いやわかんない。このDLC実は最後までやってないので、収録されてるのかわからん
だって全部英語だからやっても意味わかんないし
以下本編全セリフ
日本語版台本(翻訳)
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## D01_START
(グラフ・モノローグ)
俺の名前はグラフ・フィルシュ。俺は猫で、15歳だ。
いつも全力を尽くしてる……でも、よく落ち込む。普通の十代と比べても。
全力を尽くしても、それだけじゃ足りないことがある。人生はいつも邪魔をしてくる。
少なくとも、俺はそう感じてる。もう両親を失ってしまったから。
つまり俺は孤児……いや、あの変な爬虫類の“探偵”ブロックがいなければ、の話だ。
まあ、保護者としては十分カッコいいと思う。
それでも……
少なくとも、スラムの「意識センター」で学べることには感謝してる。
……
待てよ。
なんで勉強のことなんか考えてるんだ……?
たまにはいい夢を見させてくれよ……。
いつも夢に出てくるのは……
???「おい、グラフ! 起きろ!」
## D01_START2
グラフ「……ああ。」
グラフ「やあ、オット。」
オット「よお、グラフ。昨日も夜更かししたんだろ?」
グラフ「正解。」
グラフ「すごい人混みだな。クラス全員が集まってるみたいだ。」
オット「そうさ。ディレクターが発表をするんだ。」
オット「椅子が4つしかないのが残念だな。他のみんなは立ちっぱなし!」
グラフ「俺たち、すごい特権階級だな。」
オット「特権っていえば……“あいつ”が同じグループじゃなけりゃ、もっと良かったんだが。」
グラフ「クレイ?」
グラフ「所詮、ディレクターの一人息子だからな。コネを使い放題だ。」
オット「だからって、もうちょっと態度を良くすればいいのに。」
グラフ「関わらない方が身のためだ。」
クレイ「へぇ、聞こえてるぞ?」
オット「まあ、俺たち以外は“ドラマー”志望じゃないからな。」
グラフ「俺には理解できない。安全なドームの中で暮らせるチャンスを蹴って、こんな……」
グラフ「こんな……」
オット「クソみたいな土地で?」
グラフ「まあ、そうだな。」
クレイ「お前ら、最近やけに歯に衣着せないな!」
グラフ「聞こえてないフリしてたんじゃなかったのか?」
オット「まあ、あと数か月で終わりだ。俺たちもようやく“自分の場所”を持てるんだ!」
グラフ「そうなればいいけどな。」
オット「もっとやる気出せよ! お前の評価はいつも優秀じゃないか!」
オット「俺よりずっと上だよ……」
グラフ「大丈夫、オットなら合格する。」
オット「そんなの分かるわけないだろ。」
グラフ「俺は知ってる。お前をな。」
オット「……」
オット「静かにしろ! ディレクターが来る!」
## D01_START3 (ディレクターの演説)
ディレクター「意識センターS1の生徒諸君。」
ディレクター「知っての通り、明日は〈ナタル・アンテイル〉だ。我らアトラシアの至高の祭日。」
ディレクター「伝統を祝うことは、この社会で重要だ。」
ディレクター「それは“統合”の証であり、集団知能に自らの力を合わせたいという意思の証明でもある。」
ディレクター「ゆえに、今年は特別なものになる。」
生徒「特別? どういう意味ですか?」
ディレクター「皆の働きぶりを評価することになった。」
(ざわめき)
ディレクター「――静粛に!」
(耳をつんざく叫び声)
オット(心の声)「いてぇ……! あの声を滅多に使わないのは幸いだな。」
グラフ(心の声)「まったくだ……。」
ディレクター「さて。皆の働きぶりを評価し、正しく式を遂行できるか確認する。」
ディレクター「心配はいらん。評価が“ゼロ”だった者だけが失格だ。」
グラフ「……」
ディレクター「〈ナタル・アンテイル〉の真の意味を思い出せ。」
ディレクター「効率、正確さ、そして個性。君たちが追求すべき三つの言葉だ。」
ディレクター「思春期から成人になるまでの間、この日には必ず“自分のための贈り物”を稼ぎ出さなければならない。」
ディレクター「通貨口座はゼロにリセットされ、親や友人からの送金は禁止される。」
ディレクター「友達の親からの支援もダメだ。」
生徒「クレイ、残念だったな! 今年はズルできないぞ!」
クレイ「チッ、そんなの必要ない!」
ディレクター「その贈り物は、自分自身にとって最高のものだ。自ら稼いだ範囲で価値のあるものを買え。」
ディレクター「これは、社会の中で自分の役割を見つける予行演習だ。」
ディレクター「欲しいものを得るためのモチベーションは、労働の中に表れる。」
生徒「もし、何も欲しくなかったら?」
ディレクター「それは良いことだ。地球の資源を節約する行為は、常に評価される……」
ディレクター「ただし、この特別な日だけは例外だ。」
生徒「がーん……。」
ディレクター「誰しも必要なものはある。自分の内なる声を聞け。」
ディレクター「古代では、この日はまったく違う形で祝われていた。」
ディレクター「人々は家族や友人に贈り物を買っていたのだ。」
ディレクター「花瓶から最新機器まで、あらゆる物が贈り物になった。」
ディレクター「さらに膨大なエネルギーを装飾用の照明に浪費した。人類にとって直接の利益は少なかったが、環境への負荷は莫大だった。」
ディレクター「経済には良かったが、地球を破壊し続けた。その影響は今も我々を苦しめている。」
グラフ(心の声)「はぁ……ドラマーたちは今もくだらない物を浪費してるくせに……。」
ディレクター「大規模な家族・友人の集まりもしばしば争いを生み、喜びの場は喧嘩と別れに終わった。」
ディレクター「やがて伝統は廃れかけた。だが政府はそれを修正し、“個人と本当の必要性”に焦点を当てた。」
ディレクター「環境にも人にも適したものとなったのだ。」
ディレクター「いいな? 明日の夕方までに労働でユニスを稼げ。」
ディレクター「友達も家族も手を貸すな。自分で仕事を探せ。」
ディレクター「そして、自分にとって最高の贈り物を買え。」
ディレクター「規則は必ず守れ。携帯に送ってある。違反すれば退学だ。リスクを冒す価値はない。」
ディレクター「繰り返す。効率・正確さ・個性。自分にとって有用なものを選べ。」
## D01_OUTSIDE1
(ため息)
ブロック:「どうした?」
グラフ:「わからない……なんだか寒気がする。」
ブロック:「最近は冷え込んでるからな。まあ、“冷え込む”ってほどでもないが。」
ブロック:「でも今年は雪が見られるかもな!」
グラフ:「雪……?」
ブロック:「覚えてないか? たまに気温が下がると、大気中の水分が氷になって空から降ってくるんだ。」
ブロック:「小さな結晶になって降り積もって、白い粉のようになる。」
グラフ:「砂嵐の雨みたいなもんか。」
ブロック:「似てるけど、ずっときれいで脅威じゃない。」
グラフ:「……見てみたいな。」
ブロック:「俺も見せてやりたいさ。でもアトラシアで雪なんて、もう何年も降ってない。」
(遠くで轟音)
## D01_OUTSIDE2
グラフ:「なんだ今の?!」
ブロック:「……嫌な予感しかしないな。」
ブロック:「でもこれがスラムの日常だ!」
(電話の着信音)
ブロック:「……シェイか。」
グラフ:「誰?」
ブロック:(電話に出て)「よう、どうした?」
(電話越しに誰かの怒鳴り声)
ブロック:「……あー、わかったわかった!」
(通話終了)
ブロック:「急ぎみたいだ。行かないと。」
グラフ:「えっ、でも俺は……」
ブロック:「覚えておけよ! 両目を開いておくんだ!」
(走る音)
## D01_OUTSIDE3
グラフ(心の声)「……行っちゃったか。」
グラフ:「考えてみれば、あいつ意外と足速いよな。」
グラフ:「……ここにいても仕方ない。」
## D01_OUTSIDE4
(グラフ・心の声)
「俺は街をうろついた。」
「崩れかけた地下住宅の近くでは、幼い子供たちが“ゴミ”としか言えない物で遊んでいた。」
「大人たちは忙しなく走り回り、中には薬でラリったように笑っている者もいた。」
「いずれにせよ、誰も俺に構わなかったし、仕事をくれるような気配もなかった。」
「それでも……やがて辿り着いたのは――」
## D01_SECTOR56X_1
グラフ:「最悪だ……。最貧地区に来ちまった。腐敗したゴミの臭いがその証拠だ。」
グラフ:「これじゃ稼げる見込みなんて……」
老婆:「やあ、坊や。」
グラフ:「……こんにちは。」
グラフ:「あんた、信者か?」
老婆:「そうだよ。」
老婆:「今、屋台を準備してるんだ。〈ナタル・テイル〉は大事な日だからね!」
グラフ:「商売繁盛の日でもあるってわけか……。」
老婆:「その通り! 偉大なお方の生誕を祝えるこの機会を与えられたことに感謝しようじゃないか。」
グラフ:「生誕……? え、今“ナタル・テイル”って言った?」
老婆:「おやおや、〈アンテイル教〉の授業をさぼったのかい。」
グラフ:「寝てただけだよ。」
老婆:「まあいい。遅すぎることはないさ。」
老婆:「どうだい? 私の店を片付けたり飾り付けを手伝ってくれれば、“アン・テイル”の物語を読んでやるよ。」
グラフ:「金は出る? 俺、仕事を探してるんだ。」
老婆:「ああ、なんてこった! 今どきの若者はみんな〈ナタル・アンテイル〉の新伝統に夢中だ。」
老婆:「こうしよう。お客さんが一人何か買ったら、あんたに10ユニ払うよ。」
グラフ(心の声)「(……客なんか来るのか? こんなガラクタ、誰が買うんだ?)」
老婆:「飾り付けが良ければ、もっと売れる。やる気は報われるもんだよ。」
グラフ:「……そうかもな。」
老婆:「大丈夫! 若者は必ず報われる。」
グラフ(心の声)「(後悔しそうだ……)」
グラフ:「分かった。やってみる。」
## D01_SECTOR56X_2
(グラフ・心の声)
「俺は屋台の準備を手伝い始めた。何をどうすればいいか全然わからなかったが、とにかく全力でやった。」
「その間、老婆は“昔の伝統”について話し始め……俺は妙に引き込まれた。」
## D01_SECTOR56X_2B
老婆:「〈ナタル・テイル〉は愛と分かち合いの日だったんだよ。」
老婆:「子供たちは毎年、この日を待ちきれなかった。」
老婆:「親たちは松の木を切り出して、家の真ん中に置いたのさ。」
グラフ:「ああ、それで小さな木を売ってるのか?」
老婆:「そう! 可愛いだろう?」
グラフ:「まあ、ちょっとはな。」
老婆:「木には小さな玉飾りや鎖をかけたけれど、本当の美しさは木そのものにあった。」
グラフ:「これは……なんだ?」
老婆:「スノードームさ。」
老婆:「外が凍えるような寒さで雪が降っているとき、家の中は温かくて快適だった。その雰囲気を閉じ込めてるんだよ。」
老婆:「こうやって振るとね……」
グラフ:「なるほど、これが雪か……。」
老婆:「雪が降ったときには、子供たちは雪だるまを作るのが大好きだった。」
グラフ:「幸運な子供たちだな。」
老婆:「“サンテイル”という赤い衣を着た不思議な存在もいた。白い髭を蓄えた熊みたいな姿でね。」
老婆:「〈アンテイル〉が彼を地上に送り、世界中の子供に喜びを運ばせるんだ。」
老婆:「真夜中になると、彼は家に入って、みんなが眠っている間に松の木の周りに贈り物を置いた。」
グラフ:「それって……住居不法侵入じゃ? 泥棒だったんじゃないのか?」
老婆:「違うよ。誰も気にしなかった。彼は善なる精霊で、誰も傷つけなかったからね。」
老婆:「子供たちが暖炉に小さな靴下を吊るすと、サンテイルはそこに飴を入れてくれた。」
グラフ:「いい奴じゃないか。」
老婆:「翌朝、子供たちは家族と一緒に集まってプレゼントを開けたのさ。」
老婆:「言ってごらん。“自分で自分の贈り物を買う”なんて、どこに魔法があるんだい?」
グラフ:「……合理的だからさ。自分以外に、俺に一番ふさわしい贈り物なんて用意できないだろ。」
老婆:「驚くよ。時には友達や家族の方が、あんた自身よりあんたを理解していることもあるんだ。」
老婆:「子供たちはサンテイルに欲しい物のリストを送ったりもしたが、実際には必要なかった。」
老婆:「サンテイルはいつだって“その子に最も必要な物”を知っていたんだよ。」
グラフ:「……まるで神みたいだな。」
老婆:「そうとも言えるね。でも本質はそこじゃない。」
老婆:「贈り物だけがすべてじゃなかった。大事なのは“愛する者と過ごす時間”だったんだ。」
老婆:「だから〈ナタル・アンテイル〉って呼び方は正しくない。あのお方が尻尾付きで生まれたわけじゃないんだから。」
老婆:「新しい伝統の意図は理解できるけれど……」
老婆:「正直、悲しいのさ。本来の精神から大きく逸れてしまった。」
老婆:「そのせいでサンテイルは長い間、姿を見せなくなったんだと私は思ってる。」
グラフ:「……」
老婆:「でもね、奇跡って起こるんだよ。」
老婆:「今朝“誰かの助けが欲しい”と願ったら、こうしてあんたが現れた!」
グラフ:「それは偶然だよ。今日は全員が仕事探してるんだ。」
老婆:「そうかい。でも私は信じてる。強く願えば、必ず叶うって。」
グラフ:「……そんなに簡単なら、俺もいつかやってみるさ。」
## D01_SECTOR56X_3
グラフ:「つまり……小さな木、スノードーム、サンテイル像、飾り付け……その小包は……」
老婆:「贈り物だよ!」
グラフ:「昔の伝統の象徴を全部売ってるのか!」
老婆:「その通り!」
グラフ:「いいな。写真撮って友達に見せたい!」
グラフ:「……いや、“友達”って言えるのは一人だけか。」
老婆:「好きなだけ撮りなさい。」
(シャッター音)
## D01_SECTOR56X_4
グラフ:「この金色のサンテイル像、すごく綺麗だな。」
老婆:「だろう? 私の店の目玉商品さ!」
老婆:「これは大切すぎるから、いつも手元に置いてるんだ。ちゃんと見ていておくれよ。」
グラフ:「任せてくれ。」
グラフ:「あ、最初のお客さんが来た!」
老婆:「いらっしゃい。何かいかがですか?」
男(レッサーパンダ):「見てるだけだ。ここらで宗教屋台なんて珍しいな。」
男:「教会はどこにある?」
老婆:「私のじゃないよ。私は牧師の助手でね。ちょっと先の通りにあるさ。」
男:「そうか。じゃあ幸運を祈るよ。」
老婆:「ありがとう!」
グラフ:「……買わなかったか。」
老婆:「大丈夫。これからもっと人が来るさ。あんたはよく働いてるよ。」
グラフ:「そう願いたいね……。」
## D01_SECTOR56X_5
(グラフ・心の声)
「三時間後……ようやく何人か客が来て、60ユニ稼げた。」
「雪を模した粉がテーブルに散らかっていたので、片付けをしていたとき――」
## D01_SECTOR56X_6
女(カバ):「ちょっと通して。」
グラフ:「うわっ!」
(走る音)
グラフ(心の声)「女が俺にぶつかってきた。」
老婆:「ああっ! 金色のサンテイルが! あの女が盗んだ!」
グラフ:「なんだって?!」
老婆:「ちゃんと見張っててくれって言っただろ! 何やってたんだい!」
グラフ:「……掃除しようと思って、像を机の端に置いたんだ……。」
(グラフ・心の声)「まだ泥棒は見える。俺は全力で追いかけた。」
(グラフ・心の声)「幸運なことに、俺は猫。相手はカバだった。」
(グラフ・心の声)「追いついて、考える間もなく体当たりした。」
カバ女:「ぎゃっ!」
(グラフ・心の声)「女は岩に倒れ込み、脚を切って血を流していた。大事には至らなかったが、罪悪感が押し寄せた。」
グラフ:「ご、ごめん! 俺……!」
(グラフ・心の声)「謝ってる場合じゃない。像はどこだ?!」
(グラフ・心の声)「探す前に、背後に巨大な影が落ちた。」
(グラフ・心の声)「警官の熊だった。」
熊警官:「ここで何をしている!」
グラフ:「警官さん! そいつが盗んだんです!」
(グラフ・心の声)「熊はすでに像を拾っていた。その腕の太さを見れば、誰も奪えないと分かる。」
(グラフ・心の声)「もちろん俺だって盗む気なんてない。金が必要でも、盗みは絶対にしない。」
## D01_SECTOR56X_6B
(熊は俺とカバを屋台に連れ戻した。老婆はほっと胸をなで下ろした……ほんの一瞬だけだが。)
(くしゃみ) 熊警官:「はっくしょん! いかん、アレルギーが……。」
熊警官:「はい、あんたの物だな。」
老婆:「ありがとう! 神があなたを祝福してくださる!」
カバ女:「……信じられない。子猫に捕まるなんて……。」
(グラフ・心の声)「熊の大きな手が俺の肩を叩いた。震えが走った。」
熊警官:「よくやったな、坊主。」
## D01_SECTOR56X_6C
(グラフ・心の声)
「俺は反射的に身を引いた。触れられたくなかった。」
「でも……正直なところ、あの大きな手は温かくて安心する感じがあった。」
「むしろ今の俺には、それが一番欲しかったものかもしれない。」
「……それでも、胸の奥でもう一つの声が叫んでいた。」
(くしゃみ) 熊警官:「はっくしょん!」
熊警官:「……ところで奥さん。」
老婆:「はい?」
熊警官:「この屋台、届け出は?」
熊警官:「ここはスラムでも販売禁止区域のはずだ。」
老婆:「えっ……それは……」
(グラフ・心の声)「やっぱり、この商売はまともじゃなかった。」
熊警官:「上に報告しないといけないな。時間がかかるぞ。全員ここで――」
(グラフ・心の声)「最後まで聞く前に、俺は猫のように逃げ出していた。」
熊警官:「おい、坊主! 待て!」
(くしゃみ) 熊警官:「はっくしょん!」
熊警官(心の声)「……はぁ、今日は疲れた。誰か同僚でも友達でも、いてくれたらな……。」
## D01_SECTOR56X_6D
(グラフ・心の声)
「時間は刻一刻と過ぎていた。ここで一日を潰す余裕なんてなかった。」
「最悪だ。完全に失敗だ。」
「俺が像を机の端に置いたせいで盗まれた。」
「盗人とはいえ、流血させてしまった。あの血の光景が頭から離れない。」
「警官から逃げ出した。次に出会ったらどうなる?」
「そして何より、優しくしてくれた信者の婆さんに迷惑をかけた。」
「手元に残ったのは……60ユニだけ。」
「これじゃ大した物は買えない。」
「気づけば、俺は自分のアパート前に立っていた。」
「そして……次に何が来るか、分かっていた。」
--- パート2へ続く ---
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## PART 2
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### D02_SHAY1
ブロック(心の声):「俺の名前はブロック。ただの……ブロックだ。」
ブロック(心の声):「自称・探偵をやっている。」
ブロック(心の声):「とはいえ、普段の生活は人助けの雑用ばかりだ。せいぜい数ユニの報酬ってところ。」
ブロック(心の声):「生まれてからずっとスラム暮らし。それが役に立つ時もある。」
ブロック(心の声):「……まあ、数ヶ月だけ違った時期もあったが、その話は掘り返したくない。」
ブロック(心の声):「ここには大した物はないが、生き延びて互いに助け合っている。」
ブロック(心の声):「ドーマーどもみたいに偉そうでもない。ドームなんて、現実から目を逸らして閉じこもる安楽の泡に過ぎない。」
ブロック(心の声):「あれが合う奴もいるだろうが……俺には合わなかった。」
### D02_SHAY2
ブロック(心の声):「さて。俺はシェイのガレージに向かっていた。ガキの頃からの友人の一人だ。」
ブロック(心の声):「数年前に偶然再会してからは、ずっと付き合いが続いている。ちょっとイカれてる奴だが……あの途切れ途切れの電話が気になってな。」
### D02_SHAY3
ブロック(心の声):「うっ……この臭い、やっぱ慣れねえな。湖の匂いだ。」
ブロック(心の声):「ドアが開いてる。これは良い兆候か、悪い兆候か……?」
ブロック:「シェイ?」
### D02_SHAY4
ブロック:「シェイ? どこに隠れてる?」
シェイ(物音の後、くぐもった声):「ここだよ!」
ブロック:「この木箱と古着と配線の山の下か?」
ブロック:「緊急事態だって言ってただろ。」
シェイ:「そうだよ! 私、挟まって動けないんだ!」
ブロック:「……悪いが分かりにくいぞ。お前いつもガラクタに埋もれてるからな。」
シェイ:「ふざけてないで、早く出して!」
### D02_SHAY5
(ガラクタをどかす音)
ブロック:「ふぅ……。」
シェイ:「よし、ありがと。じゃ、作業に戻るわ。」
ブロック:「は? 俺、わざわざここまで来たんだぞ。それだけか?」
シェイ:「あんな不愉快な目にあったんだ。今は機嫌悪いんだよ。」
ブロック:「シェイ!……」
(シェイがちらりとブロックを見る)
シェイ:「あっ……やば。」
ブロック:「な、なんだよ?」
シェイ:「いや、なんでもない。ただ……思い出したんだよ。なんで普段お前を見ないようにしてるかを。」
ブロック:「え?」
シェイ:「だって、目を合わせたら……絶対お前に逆らえなくなるから。」
(咳払いしつつ芝居がかった声で)
シェイ:「“あぁ~私のハンサムなヒーロー! そのたくましい腕でまた助けに来てくれたのね!”」
ブロック:「やめろ、やりすぎだ。」
ブロック:「ただ少しは雑談でもしてくれるかと思ったんだ。普通の人間みたいにさ。」
シェイ:「そうそう、普通の人間ね。」
(シェイは再び工具をいじり始める)
ブロック(心の声):「……時々、なんで友達やってんだろうって思うよ。」
シェイ:「正反対の相手とつるむのが好きなんだろ。」
ブロック:「で、どうやったらそんなハエ取り紙みたいに挟まったんだ?」
シェイ:「あー、それがさ……」
### D02_SHAY6
(突然、金属がぶつかる音と共にドアが開く)
ウェス:「おい! そこで何してる!」
(背後にトライボットの駆動音が響く)
ブロック:「ちっ……。」
シェイ:「わぁ、トライボットだ! 私の発明とどっちが強いか試してみたいな~!」
ブロック:「お前……余計なこと考えるなよ。」
ウェス:「ここで違法実験をしているという通報があった。」
ブロック:「通報? 誰がそんな……」
シェイ:「いやいや! 私はただ合法的な修理と改造をしてただけ!」
ウェス:「なら、その爆発音はなんだ?」
シェイ:「えーっと……大気圧の急激な変化?」
ブロック:「はぁ……。」
ウェス:「ガラクタを調べさせてもらう。」
シェイ:「待って! 勝手に触らないで!」
(トライボットがガラクタを持ち上げる音)
ブロック(心の声):「やばい……あれを見られたら……!」
### D02_SHAY7
(ウェスがシェイの作りかけの装置を取り出す)
ウェス:「これは……爆薬か?」
シェイ:「ち、違う! ただの推進力テスト装置!」
ブロック:「……シェイ。」
シェイ:「ほんとだって! ただのエンジン改造!」
ウェス:「規制違反は明白だな。署まで来てもらう。」
シェイ:「ちょっ……! それは困る!」
ブロック:「……ウェス、待ってくれ。」
ウェス:「ブロック? またお前か。」
ブロック:「ああ、俺だ。こいつは確かに変な奴だが、犯罪者じゃない。俺が保証する。」
ウェス:「お前の保証に何の価値がある?」
ブロック:「俺は探偵だ。真実を見極める目は持ってるつもりだ。」
(沈黙の後、ウェスがため息をつく)
ウェス:「……分かった。だが次に違反を見つけたら即逮捕だ。」
シェイ:「助かった……!」
ウェス:「感謝するなら、爆発物を片付けるんだな。」
(ウェスとトライボットが退出する音)
ブロック(心の声):「ふぅ……危なかったな。」
シェイ:「ほんっと、あんたがいなかったら今ごろ牢屋だよ。」
ブロック:「そういうことを繰り返すなって言ってるんだ。」
シェイ:「はーい。」
### D02_HOME1
(グラフ・心の声)
「気づけば、またブロックのアパートの前に立っていた。」
(ドアが開く音)
ブロック:「おっ、帰ったか。」
グラフ:「……ああ。」
ブロック:「顔色悪いな。大丈夫か?」
グラフ:「別に……。」
ブロック:「何かあったな。」
グラフ:「……聞きたい?」
ブロック:「話したいなら、な。」
(グラフはしばらく黙った後、ゆっくり話し始める)
グラフ:「仕事を手伝ってたんだ。信者の婆さんの屋台で。」
グラフ:「……でも、金色の像が盗まれた。」
ブロック:「はぁ……。」
グラフ:「俺がちゃんと見張ってなかったせいで……。」
ブロック:「お前のせいじゃない。」
グラフ:「いや、俺が机の端に置いたから……。」
ブロック:「盗む奴が悪いんだ。お前は悪くない。」
グラフ:「……。」
ブロック:「で、いくら稼いだ?」
グラフ:「60ユニ。」
ブロック:「悪くないじゃないか。」
グラフ:「でも……これじゃ何も買えない。」
ブロック:「贈り物は豪華じゃなくていい。お前にとって意味がある物ならな。」
グラフ:「意味……。」
### D02_HOME2
(翌朝。ナタル・アンテイル当日)
(アラーム音)
グラフ(心の声)「とうとうこの日が来た。……正直、何も欲しくない。」
グラフ(心の声)「でもルールはルールだ。何かを買わないと……。」
(グラフは小さな屋台を覗き込む)
売り子:「いらっしゃい。60ユニで買える物なら……この本とか、小さな飾りだな。」
グラフ(心の声)「……これでいいのか?」
(グラフは小さな本を手に取る)
売り子:「それは昔話の本だ。“ナタル・テイル”を子供に読み聞かせるためのものさ。」
グラフ(心の声)「……あの老婆が話してた伝承の本か。」
グラフ:「これにする。」
売り子:「ありがとう!」
(グラフは本を抱えて歩き出す)
### D02_HOME3
(夕方。意識センターのホールに再集合)
オット:「やあ、グラフ!」
グラフ:「オット!」
オット:「どうだった? 何買った?」
グラフ:「……本だ。」
オット:「本?」
グラフ:「昔の“ナタル・テイル”が書かれてるらしい。」
オット:「へぇ……いいじゃないか。」
グラフ:「オットは?」
オット:「俺は工具を買った! 父さんを手伝えるように。」
グラフ:「そうか……。似合ってるな。」
(ディレクターが壇上に立つ)
ディレクター:「生徒諸君、今年の〈ナタル・アンテイル〉は無事に終了した。」
ディレクター:「それぞれが自らの努力で贈り物を手に入れたことを誇りに思え。」
ディレクター:「効率、正確さ、個性。それを忘れるな。」
(拍手)
グラフ(心の声)「……俺の選んだ物は小さな本一冊。」
グラフ(心の声)「でも、きっとこれには……意味がある。」
--- パート3へ続く ---
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## PART 3
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### D03_SCHOOLEND1
(グラフ・心の声)
「意識センターに向かっていた時、ディレクターがクレイと話しているのを見かけた。」
(クレイの甲高い声が響く)
クレイ:「ママ!」
クレイ:「ねえ、ママ! 聞いてよ!」
クレイ:「最悪だったんだ! 客は文句ばかりだし、服は臭いし、もう……!」
ディレクター:「これを飲みなさい。」
クレイ:「……。」
クレイ:「嫌だ。いらない。」
クレイ:「俺の話を聞けよ!」
ディレクター:「クレイ、何度も言ったはずよ。」
ディレクター:「私はあんたの母親。言うことを聞きなさい。」
ディレクター:「この薬を飲みなさい。」
クレイ:「いやだ! 抗うつ剤なんて必要ない!」
ディレクター:「いいから……」
ディレクター:「飲みなさい。」
ディレクター:「さもないと……」
クレイ:「……分かったよ。」
(グラフ・心の声)
「施設に入ったとき、クレイが小声でつぶやくのを聞いた。」
クレイ:「……でも飲まない。」
### D03_SCHOOLEND2
ディレクター:「さあ、座りなさい。」
(グラフ・心の声)
「なぜかオットはすでに席に着いて食事をしていた。速く走れるって言ってたが、今なら信じる。」
グラフ:「なに食べてるんだ?」
オット:「オーツだよ。」
グラフ:「ああ……植物系の食い物は俺の好みじゃ……」
### D03_SCHOOLEND3
(クレイが唾を吐きながら通り過ぎる)
グラフ:「大丈夫か、クレイ?」
クレイ:「ああ! 絶好調さ! 仕事も最高だった!」
クレイ:「それに“リンクス・ピューフューム”の高級香水も手に入れたぜ!」
オット:「お前はピューマだろ。リンクスじゃない。」
クレイ:「細けぇことはいいんだよ!」
クレイ:「お前らみたいな貧乏人は段ボール箱でも買ったんだろ?」
グラフ:「余計な口出しするな、クレイ。」
クレイ:「お前、ツッコミのセンス磨いた方がいいぜ。」
(グラフは黙り込む)
オット:「……奴の言うことも一理ある。」
グラフ:「オット!」
オット:「いや、俺たちも少しは言い返せるようになった方がいいってことさ。口でもな。」
オット:「ふぁぁ……眠い。早く今日が終わらないかな……。」
### D03_SCHOOLEND4
ディレクター:「生徒諸君!」
ディレクター:「目標は達成できただろう。祝う時だ!」
グラフ(心の声):「……あいつに“心”なんてあるのか?」
ディレクター:「一人ずつ、今日どんな一日を過ごし、何を買ったか発表しなさい。」
### D03_PRESENT1
(生徒たちが次々に前に出て報告する)
生徒A:「私は家族のために修理道具を買いました!」
生徒B:「私は自分のために小さなアクセサリーを!」
(拍手)
ディレクター:「よろしい。次。」
(やがてグラフの番になる)
ディレクター:「グラフ。」
グラフ:「……はい。」
グラフ:「僕は、本を買いました。“ナタル・テイル”の本です。」
生徒たち:「へぇ……!」
ディレクター:「興味深い。では次……」
クレイ:「おい待てよ! 本? あいつ、婆さんの店でタダで手伝ってただけだぜ!」
(生徒たちがざわめく)
ディレクター:「どういうことだ、グラフ?」
グラフ:「ち、違います! 僕は……仕事をして、その対価で本を……!」
クレイ:「違反だろ! 他人の助けを借りるのは禁止だ!」
(オットが慌てて前に出る)
オット:「ま、待ってください! 彼は……」
ディレクター:「……グラフ。真実を話しなさい。」
グラフ:「……。……婆さんが、報酬を払ってくれるって……。」
(場が凍りつく)
ディレクター:「ルール違反だ。」
(生徒たちのざわめき)
### D03_PRESENT2
オット:「じゃあ……俺も違反だ!」
グラフ:「オット……?」
オット:「俺も親父を手伝った! 家の修理をして、工具をもらったんだ!」
ディレクター:「……。」
ディレクター:「オット、君は失格だ。」
(ざわめきが広がる)
グラフ:「そんな……!」
オット:「気にするな、グラフ。俺は分かっててやったんだ。」
グラフ:「違う! 僕が……僕のせいだ!」
オット:「お前のせいじゃない。俺は自分の意思でやった。」
グラフ:「でも……!」
オット:「……今は話すな。」
(グラフは言葉を失う)
### D03_PRESENT3
ディレクター:「これにて発表会を終了する。」
ディレクター:「オット。君は今後“意識センター”での学習を禁じる。」
ディレクター:「自分で別の道を探すのだ。」
オット:「……はい。」
(鐘の音が鳴り、生徒たちは解散する)
グラフ(心の声):「オットが……失格になった。」
グラフ(心の声):「僕が余計なことを言ったせいで……。」
グラフ(心の声):「……胸が痛い。」
--- パート4へ続く ---
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## PART 4
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### D04_GRAFFAPARTMENTBACK1
(グラフ・心の声)
「ベッドに横たわっていた。しばらくして、ようやく涙が溢れてきた。」
グラフ(心の声):「もう抑えきれなかった。」
グラフ(心の声):「これが本当に教わっている“個人主義”ってやつか……? 自分のことしか考えないで……。」
グラフ(心の声):「自分の贈り物を手に入れて満足しろって?」
グラフ(心の声):「……嬉しくなんかない。」
グラフ(心の声):「俺は一人だ。誰も気にかけちゃくれない。」
グラフ(心の声):「最悪な気分だった。あの事故以来、一番……。」
グラフ(心の声):「そうだ……俺はもう“ドラム”なんか行きたくない。」
グラフ(心の声):「いつも悪いことしか起こらない場所だ。」
グラフ(心の声):「じゃあ、これからどうすれば……?」
グラフ(心の声):「今日の出来事を頭の中で繰り返しながら、少しでも良かったことを探そうとした。」
オットの声:「ありがとう、グラフ! 君がいなければ、僕はできなかったよ!」
グラフ(心の声):「……いや、君は俺なんかいなくても、もっと良い結果になったはずだ。」
グラフ(心の声):「俺は誰かを血まみれにさせただけだ。」
グラフ(心の声):「結局、正しいことをしようとしても、ブーメランみたいに自分に返ってくるんだ……。」
### D04_GRAFFAPARTMENTBACK1B
グラフ(心の声):「やめろ、グラフ……いいことだけ考えるんだ!」
グラフ(心の声):「……そうだ、気づいたんだ。」
グラフ(心の声):「一番楽しかったのは、強制されたことじゃなく、自分からやったことだった。」
グラフ(心の声):「あの古い伝承の話も、飾りも好きだった。」
グラフ(心の声):「スノードームや松の木、ガーランド……全部綺麗で、見ているだけで心が落ち着いた。」
グラフ(心の声):「それに、あのネズミを助けたのも楽しかった。」
グラフ(心の声):「嘘をついて種族を偽っていたけど……あいつ、本当にマットレスが必要そうだった。」
グラフ(心の声):「可哀想な奴……もっとしてやれることがあればいいのに。」
(老婆の声の記憶)「願えば叶うものだよ。」
グラフ(心の声):「……そうだ。神だとか“サンテイル”とかは信じちゃいないけど……」
グラフ(心の声):「お願いだ。頼む……。」
グラフ(心の声):「俺が欲しい贈り物はただひとつ――友達を取り戻すこと。」
グラフ(心の声):「これを俺のリストに書き加えてくれ。」
グラフ(心の声):「誰かと分かち合えないなら、この日は意味がない。」
グラフ(心の声):「俺にとって世界で一番必要な人と一緒にいられないなら。」
グラフ(心の声):「オットはいつだって優しかった。彼を見ているだけで、不安が消えた。」
グラフ(心の声):「宿題もいつも一緒にやった。」
グラフ(心の声):「一緒に……。」
グラフ(心の声):「彼が俺の人生から消えてしまうなんて、考えたくもない。雪が肌の上で溶けるみたいに……。」
グラフ(心の声):「……待てよ。俺、雪なんて見たこともないのに、なんでそんなこと思ったんだ?」
### D04_GRAFFAPARTMENTBACK1C
(グラフが苦笑いしていると――ノックの音)
グラフ:「ブロックか? どうせまた鍵を忘れたんだな。」
グラフ:「ちょっと待って!」
### D04_GRAFFAPARTMENTBACK3
(ドアを開けると、そこに立っていたのは――)
グラフ:「……オット!」
オット:「やあ、グラフ。」
グラフ:「……俺……ごめ……」
オット:「話せるか?」
グラフ:「もちろんだ!」
オット:「分かってるよ。あれは選択肢がなかったんだ。」
グラフ:「でも、それでも僕のしたことは許されない。」
グラフ:「ディレクターに全部話すよ。」
オット:「やめろ! そんなことをしたら……」
グラフ:「もう“ドラム”には行きたくない。こんな形で……大事な親友に嘘をついてまで。」
オット:「……俺たち、親友……だよな?」
グラフ:「ああ……そうだ。」
オット:「じゃあ、約束してくれ。何があっても、友達でいよう。」
グラフ:「……永遠に。」
オット:「僕もメッセージを送るよ。今日のことを全部伝えよう。」
グラフ:「僕らは、全部を分かち合わなきゃならない。罪も含めて。」
オット:「……本当にそうだな!」
グラフ:「さあ、入ってくれ!」
--- 続く ---
### D04_GRAFFAPARTMENTBACK4
(オットとグラフは机に座り、端末を操作する)
オット:「送信準備はできた?」
グラフ:「ああ……これで、俺たちが何をしたかディレクターに全部伝わる。」
オット:「……正直、怖いな。」
グラフ:「俺もだ。でも……本当のことを共有できて、少し楽になった。」
オット:「ああ。」
(送信音)
グラフ(心の声):「送信した瞬間、肩の荷が下りた気がした。」
### D04_GRAFFAPARTMENTBACK5
(ドアが開く音)
ブロック:「おーい! 誰かいるか?」
グラフ:「ブロック!」
オット:「やあ!」
ブロック:「お前ら……なんか暗い顔してるな。どうした?」
グラフ:「……ちょっとな。でも、今は大丈夫だ。」
ブロック:「そっか。実はいい物を持ってきたんだ!」
(ブロックが袋を開ける音)
ブロック:「見ろよ、残り物の食材だけど寄せ集めてきた。ちょっとしたご馳走になるだろ?」
オット:「すごい!」
グラフ:「……ありがとう、ブロック。」
### D04_GRAFFAPARTMENTBACK6
(そこへオットの両親が入ってくる)
母:「オット、ここにいたのね。」
父:「こんなところで何してるんだ?」
オット:「僕は……大切な友達と一緒にいたかったんだ。」
母:「……そう。」
グラフ:「こんばんは。」
父:「やあ、グラフ君。」
(気まずい沈黙の後、母が微笑む)
母:「せっかくだから……一緒にご飯をいただきましょう。」
ブロック:「よっしゃ! じゃあ鍋を温めよう!」
### D04_GRAFFAPARTMENTBACK7
(食卓を囲む一同)
グラフ:「これは……ご馳走だな!」
ブロック:「だろ? ほら、食え食え!」
オット:「ありがとう、みんな……。正直、今日は最悪の日になると思ってたけど……」
グラフ:「俺も……でも今は最高だ。」
母:「ナタル・アンテイルに、こうして集まれたのも何かの縁ね。」
父:「昔のやり方に近いな。家族や仲間と共に食事を分かち合う。」
ブロック:「それが一番大事なんだよ。」
(グラフ・心の声)
「俺はあの本を見つめた。60ユニで買った、小さな“ナタル・テイル”の本。」
「ページをめくると、あの老婆が話してくれた物語と同じ言葉が並んでいた。」
「……これが俺の選んだ贈り物。間違ってなかった。」
グラフ:「なあ、みんな……一緒にこの物語を読まないか?」
オット:「いいね!」
母:「ぜひお願い。」
父:「聞かせてくれ。」
ブロック:「おう!」
### D04_GRAFFAPARTMENTBACK8
(グラフが声に出して読む)
グラフ:「――昔、雪が降る冬の夜、サンテイルは子供たちに贈り物を届けました。」
グラフ:「それは大きな物じゃなく、心からの小さな贈り物。」
グラフ:「家族は暖炉の前に集まり、互いを思いやって時を過ごしました。」
(グラフ・心の声)
「読み進めるうちに、胸が温かくなった。」
「もしかしたら本当に……サンテイルがいるのかもしれない。」
「そうでなきゃ、こんな奇跡みたいな時間を過ごせるはずがない。」
グラフ:「――おしまい。」
(拍手と笑顔に包まれる)
オット:「……ありがとう、グラフ。」
グラフ:「こっちこそ。」
(窓の外で風が吹き、雪のような細かな砂が舞う)
グラフ(心の声):「俺は願った。いつか本物の雪を、オットやブロックと一緒に見られる日が来ますように。」
--- パート4 終了 ---
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## PART 5 - エピローグ / クレジット
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### D99_ENDSCENE_RATS
キンズ:「ボスー!」
キンズ:「なんでリードだけマットレスで寝てんの?! ずるい!」
チーフラット:「は? なんのことだ?」
キンズ:「パイプメールの下で見つけたって言ってた!」
チーフラット:「だから? パイプが特別に届けてくれたとでも思ってんのか? はは!」
キンズ:「……そうじゃないの?」
チーフラット:「(ため息)」
チーフラット:「リード!」
リード:「……はい、ボス?」
チーフラット:「それをよこせ。」
リード:「え、ちょっ!!!」
リード:「ずるいですよ、ボス! ボスにはもうベッドがあるでしょ! シーツもマットレスも全部揃ってる!」
チーフラット:「俺は俺だ。お前らはお前らだ。」
チーフラット:「一人だけ特別扱いなんて許されん。揉め事の元になる。」
リード:「でも、これは俺に残された物なんだ!」
チーフラット:「ははは! そうか? 証拠を見せてみろよ!」
リード:「……。」
リード:「じゃあ……みんなにマットレスが行き渡ったら、それでいいだろ?」
キンズ:「はっ! そんなこと起こるわけない!」
ダート:「ボス! 大変だ!」
ダート:「あそこにマットレスが山ほどある!!!」
チーフラット:「な、なんだと!?」
(その場の全員が驚きの声を上げる)
リード:「こりゃ……ナタルの奇跡だな!」
### D99_ENDSCENE_POLICE
ウェス:「どうした、そんな浮かない顔して。」
RJ:「みんな休暇を取ったんです。ナタルの時期に。」
RJ:「残ってるのは俺だけ……あとあなたも。」
RJ:「俺はいつも働いてます。役に立てるのが好きなんで。仕事は愛してます。」
RJ:「でも……寂しいんです。」
ウェス:「じゃあ、新しい同僚を紹介しよう。」
トライボット:「こんにちは!」
RJ:「トライボット?! 」
ウェス:「こいつがお前を補助する。俺たち人間より効率的だぞ。」
RJ:「……そうですかね?」
ウェス:「じゃあ俺はオフィスに戻る。」
RJ:「あんた、本当に職場から離れないんですね。」
ウェス:「警官はみんなそういうもんだ。」
トライボット:「初めまして。では早速、仕事に戻ります。じゃあな、大きな毛むくじゃらの人間さん。」
RJ:「……。」
(電話が鳴る)
RJ:「おっ!」
RJ:「シン!」
シン:「よう、相棒!」
シン:「まさかまだ署にいるのか? ナタル週の夜に?」
RJ:「ああ……。」
シン:「俺たちの家に来いよ! 特別な夜にしたいんだ!」
RJ:「俺たち?」
シン:「俺と……俺の愛する二人さ!」
少女の声:「やっほー! 大きなクマさん! かわいい!」
RJ:「おお! こんにちは!」
少女の声:「ぬいぐるみみたいに抱きしめたい! いいでしょ、パパ!」
シン:「こら! お客さんを抱きしめちゃだめだろ!」
シン:「ほら、これで来ないわけにはいかないだろ? 断ったら子供が泣くぞ!」
RJ:「でも、署長に……」
シン:「いいから来いよ! 飯も酒も用意してるし、お前へのプレゼントもあるんだ!」
RJ:「……行く!」
RJ:「ありがとう、シン! お前は最高の友達だ!」
シン:「こっちこそ!」
### D99_ENDSCENE_LAB
ガード:「おーい! みんな! ちょっと聞いてくれ!」
(ボタンを押す音、警告音が響く)
トライボット音声:「緊急事態。研究所内で汚染を検知。全員、直ちに退避してください。」
ミンク:「な、なんだって!?」
ハッシュ:「またお前か、ミンク! 今度は何をやらかした!」
ガード:「落ち着け! 大丈夫だ!」
ハッシュ:「まさか……」
ガード:「ただ注意を引きたかっただけだ。」
ハッシュ:「政府の装置を勝手にいじるとは……報告書に追加しておくぞ。」
ガード:「お前らが聞いてくれないからだろ!」
ハッシュ:「で、何の用だ。」
ガード:「最近流行ってるやつ、知ってるか?」
ハッシュ:「ナタル・テイル……?」
ガード:「そう! 自作の飾りを持ってきたんだ!」
ミンク:「こんなくだらない物で私の作業を邪魔するとは!」
ハッシュ:「まったく……。」
ガード:「見てくれ!」
ミンク:「こ、これは……」
ハッシュ:「ゴミだな。」
ガード:「がーん……俺、頑張ったのに。」
ミンク:「改良できる! ネオン熱プラズマ電球を使えば透過壁に変換できる!」
ガード:「は?」
ハッシュ:「ティディ、飾りを取り付けろ。」
ティディ:「了解! 吊るし作業を開始します!」
ガード:「さらにプレゼントも用意した!」
ミンク:「俺に……贈り物?」
ガード:「そうだ。これが新しい習慣の精神なんだろ?」
ガード:「ほら。」
ミンク:「……。」
ガード:「言葉が出ないだろ? なら成功だ!」
ガード:「次はハッシュ、お前にもだ!」
ハッシュ:「……ありがとう。」
ガード:「靴下だ! お前、いつも同じの履いてただろ!」
ハッシュ:「……気づいてくれて、ありがとう。」
ミンク:「……俺もある。」
ガード:「え?」
ミンク:「お前への贈り物だ。」
ガード:「ほんとに?!」
ミンク:「ああ。渡すタイミングを探してたんだ。」
ガード:「……完璧な包装だな! どうやった?」
ミンク:「ナノボットに梱包動画を学習させて、数日かけて仕上げた。研究所の今月のエネルギーの60%を使ったがな!」
ハッシュ:「なにぃ?!」
ガード:「……嬉しい! 生まれて初めてちゃんとしたプレゼントをもらった!」
ガード:「ありがとぉぉぉぉぉ!!!」
ミンク:「わっ! やめろ! 殺す気か!」
ハッシュ:「抱きしめてるだけだ。」
ミンク:「……あ、そうか。」
ミンク:「……悪くないな。」
--- エピローグ終わり ---