今作は見た目はケモナーカートゥーン系の間抜けなビジュアル。障碍者向けのアクセシビリティを追求しており、ユーザービリティはそれに準じて緩和できる。戦闘とパズルはすべて飛ばすことができ、クリアする必要がない

が実際のゲーム内容だけみれば全体的に難解で、ハードコアゲーマー向けになっている

まず世界観も厳し目で、ゲーム紹介ではサイバーパンクとなっているが、実際はFallout系。

人類が全滅して、外界は人が住めないほど汚染されまくっている。人類はドームと呼ばれる隔離地域にしかすむことができず、常時抗公害薬を飲んでないと死んでしまう

ストーリーを説明すると、主人公のブロクは、自分と息子の生活費を稼ぐために探偵業を営んでいる。息子グラフは幼いころに実母と実父をなくした気難しいティーンエイジャーで、ドームと呼ばれる特権階級層の居住区に進学するための試験に挑む。

腕っぷしの強いダメ親父のブロクが、依頼人の問題を解決したり、ナイーブな息子の進学のために奮闘する。周りの登場人物は貧乏人ばかりだし、最初から偽装警察官の拳銃を探すというハードコアなストーリーになっている

シナリオは一見の価値あり

見た目はへったくそなカートゥーンでコミカルなんだが、ストーリーはクッソシビアなものになっている。世界観がもう人類が全滅に瀕して、ロボットに反乱を起こされているというものなので

その辺のいきさつや体制側の設定もやたらと緻密につくってある。が難解で、台詞が冗長すぎて正直ついていけない

だが基本的にキャラクターの性格やセリフは迫真で、ティーンエイジャーのグラフやクレイが生々しいセリフを吐く。シナリオライターは非凡な才能があり、一見の価値がある

批判を言えば全体的に暗すぎる上に、コミカルなイラストとは不釣り合いに見える。キャラデザがサイバーパンクに見えないので、現代の米国を舞台にしたほうがわかりやすい

だが逆に言えばこのクッソカワイイキャラデザのおかげで、このクッソ陰気なシナリオがマシになっている。この絵柄がないと、砂糖が入ってないチョコレートのようなストーリーだ。

正直このゲームの絵柄は革命的で、コイツが政府の陰謀を暴く凄腕の女ジャーナリストだとわかるやつはいるんだろうか(しかもすごい強い

豊富な選択肢

もう一つゲームの魅力に豊富な選択肢がある。海外のゲームなので、アンモラルなことができるようになっている。

といっても好感度がさがるか、逆襲されてゲームオーバーになるだけで、あまりメリットないが

推理とパズルが難しすぎ

最初はクリック型アドベンチャーで、とにかくあちこちクリックしてればクリアできる。だが四章の殺人事件から猛烈に難解になる

この画像当該施設の出入り記録なのだが、これみて犯人を推理しなければならない。すげー冗長な会話の内容を聞いていても、難しすぎて訳が分かんない

その辺についても猛烈に配慮されており、広告クーポンを表示してクリアのヒントがもらえるし、一度クリアすれば自動スキップができるようになる。だからまあ内容聞かずに飛ばされてしまうのだ

私はぶっちゃけ推理パートをプレイアブルにするべきではなかったと考えている。難解すぎて詰まんないうえに、一度クリアされれば繰り返すこともない。リプレイ性が皆無なのだ

クリック型の捜査パートはあってもいいが、推理についてはグラフやオットなどのコンパニオンが自動的に解決してしまったほうが良いと感じる。

パズルも同様で、あるのはかまわないが、やたら難しいので普通はヒントを使ってクリアするだろう

推理パートやパズルというコンテンツがあるのは評価できるが、これに開発のリソースを割いてしまうのは感心しない。ゲーマーとしては「クリック型アドベンチャーはクリックしてればクリアできる。逆に戦闘パートと金策がシビア」というのが理想的なのだ。それのほうがリプレイ性が高いので

アクションパートは完成度高

ファイナルファイト風のベルトスクロールアクションは意外にも非常に完成度が高い。モーションに迫力があるし、敵も必殺技を使ってくるところが熱い。

だが、このゲーム基本的にクリックアドベンチャーなので、敵の種類が少なくすぐに終わる

前述の推理&パズルに注力しているため、あんまりコンテンツの量が多くないのだ。結局このカートゥーン系キャラデザのファイナルファイトがゲーマーに望まれる姿だと思うが、あくまで今作はクリック式アドベンチャーである。ベルトスクロールアクションはあくまでおまけ

ゲテモノ昆虫食

どうでもいいかもしれないが、このワニの主食は昆虫である。回復アイテムがアリバーガーとかピザント(昆虫のピザらしい)とかゲテモノなのだ。

キャラクターがfurry(肉食すると共食いになる)で、汚染されて作物が育たないという理由で、みんな昆虫食らしい。

気持ち悪い昆虫食う理由はあるが、逆に言うと昆虫嫌いな人にはキツイいんじゃないか

頭いいやつ多すぎ

シナリオは文量が多く良いとか悪いとか言いづらい。問題点はあえて言うなら二つ。まず伏線が色々あるが、今作ではほとんど完結してない

次に頭良いキャラが多すぎるという点。見た目ではわからんが、親友のオットーや嫌味なクレイすら、すげー頭が良いという設定になっている

そういう有能ばかりという奴らの会話も退屈なもので、とくにシェイの会話聞いてると冗長ですぐに飛ばしたくなってくる。

またプロットの問題点もあって、サブ主人公のグラフはすごい頭脳明晰という設定なのだが、埋没してしまっている。グラフは没した両親が最高の科学者で、特別視されているという重要な設定があるが、全然それが伝わらない