amnesia The Dark Descent

怖すぎるほどユーザーフレンドリーな名作ホラー

今作は、時折現れるクリチャーをやり過ごしながら、適当に鍵とかスイッチを探しつつ、漠然とゴールを目指して進んでいくゲーム

ゲーム的な部分といえば時折現れるクリチャーの襲来なのだが、銃で撃ち殺すようなことはできず、逃げるか隠れるかしかできない。クロックタワーライクの、いまどき自体遅れなゲームである

しかしこのゲームはぶっちゃけそれだけで面白い。城の内装はすばらしいデザインとテクスチャで雰囲気ばっちりだし
音は小規模な製作チームとは思えないほど完成度が高い

コレだけよくできていると、その辺歩いているだけでも、十分怖いので、激しい戦いなどなくても手に汗握れる

薄暗い場内をちまちま歩きつつ、クリチャーにおびえがら、火口箱を探すだけで楽しいゲームなので3週もしてしまった

普通ホラーゲームというと理不尽な難易度でびっくりさせるのが常なのだが、amnesiaは真逆
いまどき珍しいくらいユーザーフレンドリー
パズルは物理演算を使った直感的なものばかりで、小難しいのはない。
ゲームデザインも歩いて進むだけ。難しい操作は一切不要
一度やられてしまった場合、可愛そうだからという理由でクリチャー君は退場
そんな甘いゲームなのに、コレだけ恐ろしいというのは、紛れもない名作

以下全ネタばれありストーリー解説

プロローグ

ゲームの主人公、ダニエルはアフリカの地下遺跡で未知の力を持つオーブを発見
オーブの不思議な特性に興味を抱くも、同時に何か嫌な予感が抑えきれない

イギリスに帰国後、学者として再度研究に没頭する日々をはじめるダニエル
しかし自分にかかわった人間が後日、次々と謎の変死を遂げるという怪事件が起こる

オーブはそれを手にしたものに、コレがふさわしいか試練を与える、という一種のトラップになっていたのだ。
ダニエルはオーブを手にした瞬間から、その守護者である
「影」と呼ばれる未知の災厄に追跡され続けていた
人知を超えた存在の追跡になすすべがないダニエル。

同僚や恩師たちが、次々と影によって八つ裂きにされていく
ダニエルにもはや安住の地はなく、命からがらの逃避行を余儀なくされていた
しかしそんな彼の元に一通の不可思議な手紙が届く。
それはドイツにあるプレネンベルク城への招待状で、そこにくれば災厄から身を守る方法があるという
手紙にはそれ以上のことはかかれていない。

いったいどうやって?この手紙の主アレクサンダーは、なぜ自分の苦境を知っているのか?
不可思議なことだらけだった。
しかし迫りくる影の脅威によって、ダニエルの命はもはや風前の灯。
もはや選択肢はなく、かすかな望みを頼りにプレネンベルク城に向かうしかなかった

プレネンベルク城

城主であり手紙の送り主アレクサンダーは、礼儀正しいがどこか常人離れしている
オーブの研究者で、ダニエルの境遇に興味を持っていると明かし親切にしてくれた。

プレネンベルク上は大昔に立てられたもので、内装は古めかしい。しかし中には多種多様な研究機材と装置を備え、人知には計り知れない魔術の聖域がある

ダニエルは影と呼ばれるオーブの守護者に追跡されており、守護儀式が必要だとアレクサンダーは告げる。

しかし影の存在はアレクサンダーにとっても危険で、ダニエルを追ってくる影は、城を倒壊させてしまうかもしれない

守護儀式

プレネンベルク城の地下は牢屋になっており、世間で大罪を犯した犯罪者が集められていた
守護儀式は彼らを拷問に掛け、処刑することに成就されるというのだ

ダニエルの身代わりに、死刑囚に苦痛と死を与えることによって、
追跡する影を欺くことができるというのがその理由らしい。
ただしこの儀式はダニエル自身がやらなければ効果がない。

ダニエルは身を守るため、自ら死刑囚を拷問の餌食にしていった
しかし彼は罪悪感にとらわれ始める

農村襲撃

儀式に必要な囚人が足りなくなったため、
プレネンベルクに近い村落を襲撃するダニエルとアレクサンダー
罪人ではない少女を拘束・殺害する結果に終わる

ダニエルは正気にもどり、忘れていた罪悪感の噴出とともに心身が崩壊してしまう

復讐

アレクサンダーが過去同じように罪のない人間を捕まえ、
拷問で殺してきたのは明らかだった

アレクサンダーがダニエルを助けたのは、単なる親切心ではない
彼はなにか私的な儀式にオーブを必要としていた。
しかしオーブの力を利用しようとしたものには、影の災いが降りかかる
そこで自分は影の追跡をかわす囮として、利用されていたのだろう

ダニエルは彼に対し復讐を決意する

amnesiaを飲む

すでに影に汚染されていたダニエルは、城の中枢である聖域からはじき出された
もう朽ち果てる身だったが、amnesiaと呼ばれる液体を飲んで復活する

amnesiaを飲んだことによって体力は全快したが、
気づいたときには今までの記憶を失っており、自分がなぜ城にいるのか思い出せない
しかし影と呼ばれる存在がまじかに迫っており、自分にあまり時間がないこと
そしてアレクサンダーという人間への復讐は脳裏に刻まれていた
ゲームのオープニングはここから始まる

アレクサンダーの儀式

別次元へのポータルを開く儀式で、
それはかつての友人であり賢者、wyerにつながっているらしい

ちなみに肉の絨毯で世界を破滅させる儀式ではない。
肉の絨毯で城が揺れているのは、オーブを拾っちゃったダニーのせいである

地下水道

守護儀式のあと、ダニエルはすでに影に屠られたと思っていたが
聖域に向かって歩を進めていることに気づく。
とはいえダニエルは所詮生身の人間なので、
アレクサンダーにはたいした脅威にはならないと思った

しかしダニエルは影を引き連れているので、
彼が生きている限り、聖域に影がなだれこんで来るかもしれない・・・

聖域

ついに城の中枢までたどり着いたダニエルだったが、
アレクサンダーがいる儀式の間はオーブの力を利用した装置に阻まれている
生きて入り込むことはできないだろう

アレクサンダーの客人である賢者・アグリッパが言うには
完成されたオーブがあれば、聖域に入り込むことができるという
幸い拷問部屋には過去の儀式で破損したオーブの破片が
おかれている。しかし粉々に砕けたままでは効果はないとうなだれる

ダニエルは過去、タールを接着剤にオーブを組み合わせた経験があり
オーブの破片をもとめ、自分にとって忌まわしい記憶がある拷問部屋へと向かう

投獄

ついにゾンビーの挟撃に倒れるダニエル。気がついたときには牢屋の中
アレクサンダー曰く「守護儀式で助けてあげたのに、この恩知らず。
断罪なら俺への復讐ではなく、そこで影におとなしく葬られるべき
影が迫ってきて、俺までやばくなったじゃねえか」

しかし牢屋は欠陥住宅だったので、ほいほいっと抜け出しちゃうのだった

なおこの場所で10分ほど待っていると(そんなに待つのか・・・)
ちゃんと肉の絨毯が広がっていき
バッドエンドとなりスタッフロールが始まる。
内容は後述のアレクサンダーエンドとほぼ同じ

エンディング

アレクサンダー「俺を倒すにはwyerの強壮剤が必要だと思っているようだが、別になくても倒せる」
「俺はあと一回柱を倒されただけで死ぬぞー!」

儀式の間に影がなだれ込み、アレクサンダーもろとも死んだと思われたダニエルだったが、
奇跡的に助かっていた。
影に追われていたのは紛れもなくダニエルだったが、
アレクサンダーを身代わりに差し出したことにより
影の追跡が完了したのだった。

アグリッパの生首エンド

アグリッパがポータルを通ったことにより、
アレクサンダーは取り越される。ダニエルともども肉の絨毯にのってしまう
奇跡の賢者wyerの力で、ダニエルは一命をとりとめたっぽい

アレクサンダーエンド

計画通りアレクサンダーがポータルをとおり、
ダニエルは影の断罪を受ける

別にアレクサンダーは世界征服の儀式をやっていたわけではないので、
世界は平和のままである

アレクサンダー

城の城主で、ラスボス的存在
ポータルを開く儀式のために2世紀の間、大勢の人間をさらい
生贄として拷問の餌食にしてきた

拷問は儀式に必要なvitaeという
エネルギーを抽出するのに欠かせないものだそうだ

陰惨なゲームのわりに、アレクサンダーのしゃべりだけ
いつもノリノリで浮いている存在感抜群

下水溝あたりで城の中枢に向かうダニエルの存在に気づき
悩ましい吐息でダニエルを惑わす

オーブの守護者であり、これを手にしたものを屠ろうと追跡し続ける
しかもその理由が持ち主の力を試して、覚醒させるためだそうだ

すごい鉄の意志を持ってそうな設定だが、実物はゲーム中に登場する肉床が、影そのものらしい。
ダニエルはこの肉床から逃げ続けなければならない

見た目は不快なダメージ床で、血を吹きかけるような攻撃しかできなさそうだが
実際は真っ二つにされている模様

クリチャー

アレクサンダーの僕で、異形の怪物
城のあちこちを俳諧しており、儀式の邪魔をたくらむダニエルに対し
排除すべく襲い掛かってくる

ゲームのもっとも驚異的存在だが、物語的には重要というわけではない。
単なるアレクサンダーの下僕で、ダニエルの邪魔するだけ

ダニエルを追跡している影とは無関係で、
ダニエルの知人をボコったのは、コイツではなくあくまで肉の絨毯のほう

肉塊とクリチャーは同じバケモノ同士仲がよいというわけでもなく、
地下水道で「影」に巻き込まれて真っ二つになったゾンビが転がっている

アグリッパ

過去に初めてオーブを手に入れた人物
常人を凌駕した賢者的存在らしく、数世紀以上生きているようだ

ゲーム後半でつるされたバケモノとして登場する
しかしアレはアグリッパ本人ではなく、アグリッパの魂を
クリチャーという容器に保管しただけの存在らしい

証拠にアグリッパの声は別のところから聞こえてくるし
つるされていて苦しいというわけでもなさそうだ。

アレクサンダーとは友人同士だが、
weyerのポータルを通ろうと
お互い出し抜こうとしている