パーティーから追放されたサトシは、ポンノの酒場でやけ酒をあおっていた
サトシ「おいベナ、俺の話聞いてくれよ。セワシのやつが酷いだって
ベナ「サトシィー、話を聞いてほしけりゃ、いっぱいおごるのが礼儀だミ!
サトシ「何おごりゃいいの?
ベナ「ステータスオープンでベナを鑑定するんだミ!ベナの好物をみぬけるんだミ!
サトシはベナにステータスオープンを実行した。ミルクと人参がずらずら並ぶ
サトシ「お前タンポポ食うの?
ベナ「おひたしにするとうまいんだミ!
サトシ「タンポポってここらで売ってるの?
ベナ「あるわけないミ。でもポンノの酒場ならミルクだけは注文できるミ
サトシ「ウノミルクってなに?なんでお前の好感度が20も上がるの?
ベナ「それが絶対おすすめだミ!ポンノの酒場のメニューUIを表示するミ!
サトシはポンノの酒場のメニューUIを表示した
サトシ「ウノミルク…一杯100ナロン!?なんでこんなすんの
ベナ「北海道宇野産の超ブランドミルクなんだミ!それをおごってくれたら、いくらでもサトシの話しを聞いてやるミ!
サトシ「いくら何でも高すぎ…もっと安いミルクないのかな…
ベナ「ケチケチすんなミ!
ベナが身を乗り出して、サトシのメニューUIからウノミルクの注文をタップした
サトシ「え!?嘘!?俺の所持金が減ってるだけど!?
ベナ「毎度ありだミ!
サトシ「クソ…この糞NPCレポート入れようかな…いくらなんでもやりすぎ
サトシはUIのヘルプメニューから、運営に報告をタップした
テイザ「ようサトシ。ベナを甘やかしてるみたいだな。礼をいうぜ
目の前にリザードマンのウェイトレスNPCのテイザがいた。
上半身をかがめてミルクのジョッキをベナの前に置いた。
サトシの面前に大きな胸の谷間が見える
サトシ「や、やあテイザ!貧乏ウサギにたまにはうまいもの恵んでやろうと思ったんだ!
テイザ「優しいなサトシ。NPCの給料じゃウノミルクなんて頼めないからな。それに…
サトシ「…それに?
テイザ「ベナの好感度が上がると、俺のNPC好感度もおまけで上がる。俺とベナは仲良しだからな。まあ逆にそれで下がる場合もあるが
サトシ「はは…知らなかったよ
サトシは運営報告メニューをクローズして、すぐにテイザとトークUIを表示した
トークUIの選択肢に占い(100ナロン)と書いてあるのを見つけた
サトシ「占い…?なーテイザ。お前の占いって何?100ナロンって書いてあるけど
テイザ「え?嘘!?
ベナ「テイザ、どうしたミ?
テイザはベナに顔を近づけた
テイザ「ベナ、俺は占いはやらない。なんでサトシがそれを選択できるんだ?
ベナ「テイザ、お前とサトシの好感度が上がったせいだミ。たぶん…
サトシ「どうしたの二人とも?
テイザ「いや…なんでも。俺はカウンターに戻る
サトシ「待ってよテイザ!
テイザ「俺は客に油を売っちゃいけないだ。じゃあな
テイザが背を向ける。テイザの尻の小さなしっぽが揺れながら遠ざかっていく
サトシはトークUIからテイザの占いをタップした。しかし所持金が足りないので実行できない。
テイザ「まぬけな野郎だ」
AI「アラート!サトシさんに占いができない理由を説明してください!」
テイザは操り人形のように反転して、サトシのほうに向きなおった
サトシ「クソ…100ナロン持ってないと、占いはできないんだって…
テイザはサトシを無視したかったが、テイザのトークUIから選択肢を選ばれた以上、向き直ってサトシに説明しないとならない。NPCはそういう決まりがある
サトシ「占いってなんなの?どんなことするの?
テイザ「いや…俺も何のことだが…
テイザははぐらかそうとした
サトシ「え、わかんないの?
テイザ「やったことがないからわからない
サトシ「変なの
ベナ「ポンノの酒場みたいな安酒場には、胡散臭い占い師はつきものだミ
サトシ「なんでリザードマンのウェイトレスのNPCが占い師やってるの?
テイザ「さあな…
ベナ「テイザは赤き竜の巫女なんだミ。占いくらいできるんだミ!
テイザ「お、おいベナ…余計なことを…
サトシ「赤き竜ってなに?
ベナ「よ、よくいるドラゴンの中ボスだミ。
サトシ「なんでその巫女がここでウェイトレスしてるの?
ベナ「あ、あれだミ!リザードマンはドラゴンを崇拝してる設定があるミ。まあよくいるお祈り系のNPCだミ
テイザ「ベナの糞ウサギ…
ベナが余計なことを口走ったせいで、テイザとベナは冷や汗が垂れた
サトシ「ふーん。俺、常連だからただで占ってくれたりしない?サービスで
テイザ「金がないならお断りだぜ
サトシ「やったことないんでしょ?それで金とったら詐欺じゃん?しかも俺ベナに無理やりウノミルクおごらされたんだけど
サトシとテイザの論戦ゲージがサトシ有利に傾いた。ゲームAIがサトシの理屈に一理あると判定したのだろう
テイザ「くそ…わかった。一度だけやってやるよ。
サトシ「やった!
テイザ「ただし2分だけだ。ちょっと暗い席に移動してくれ。暗くないとできない