早朝NVRリビングルームでは、朝日が一面から降り注いでいる
サトシはテーブルでトーストにかじりついていた
上半身は裸で、心臓の穴をふさぐために胸部に包帯がまかれている
エプロンを付けたジョルノがフライパンでベーコンエッグを炒めていて、ベーコン油の上でたまごが躍る音がする
サトシの目の前にはウィンナーとチーズ、アボガドのサラダ、オニオンとコンソメのスープ、熱いコーヒーが淹れられている
平凡な朝食だが、どれも信じられないくらい香ばしい香りを放っている。
サトシ「ありがとう。めちゃくちゃ腹減ってたんだ
ジョルノ「サトシ、胸の傷はどんな具合だ?包帯でふさいだだけだが
サトシは包帯を巻かれた自分の胸をさすった。
はいているズボンには昨日の小さな血の跡がついている
サトシ「なんともないと思う…どんな具合か知らないけど
ジョルノ「ふーん
サトシは湯気が上るコーヒーを一口すすった
サトシ「俺は昨日どうなったんだ?
ジョルノは一瞬返答をためらった
ジョルノ「君は…瀕死で一命はとりとめた。今ミスタとトリッシュにポーションを買いに行かせている
サトシ「俺は試練に成功して、スキルを獲得したのかな?
ジョルノ「わからない。自分で調べてくれ
サトシ「俺にステータスオープン
ジョルノ「サトシ、どんな感じだ?
サトシ「未来予知スキルが追加されている…
ジョルノ「未来予知?
ドアを開けてミスタとトリッシュがリビングに入ってきた
ミスタ「リーダー。回復ポーションが売り切れだった。代わりにコイツを買ってきた
ジョルノ「試作ポーションか?これ試作品だから効果がわからないんだぞ。飲むのは危険すぎる
トリッシュ「サトシに鑑定させればいいでしょ?
サトシ「薬局のポーションは薬剤師が鑑定してある。それでわかんないとなると、俺の鑑定スキルでも無理
ミスタ「ち、だめか
トリッシュ「サトシ飲んでみたら?
サトシ「いや死ぬし
ジョルノ「サトシ、君は未来予知スキルがある。これを活用して何とかできないか
サトシ「どうやって?
ミスタ「飲むふりでもしてみろ
サトシ「そんなのでわかるのかな…
飲むふりをするサトシ。サトシのステータスを注目する一同
ミスタ「おいなんかサトシのステータス変だぜ!?赤字でなんか書いてある
《未来デバフ:めまい、吐き気、頭痛》
ジョルノ「なんだこれは?デバフ表示か?
トリッシュ「でもサトシは薬を飲んでないでしょ?デバフが表示されるなんておかしい
ジョルノ「サトシ、ポーションを机において離れてみろ
サトシ「こう?
サトシのステータスオープンから未来デバフ表記が消えた
ジョルノ「ふむ。君の未来予知は、実際に飲まなくても“結果”を先読みできるらしいな
ミスタ「便利な野郎だ
ジョルノ「サトシ、残りのポーションも同じ方法で識別しろ。回復するポーションもあるはずだ
サトシの目の前のテーブルに、カラフルなポーションが並べられている
サトシはポーションを飲むふりをして、その効果をジョルノとミスタが記録していった
ジョルノ「まず最初にサトシが試したやつが、副作用ポーションだ。一定時間薬の副作用が体感できる
ミスタ「なんだそりゃ?
ジョルノ「軽い吐き気やめまいの症状が出る。なんの役にも立たないな
ジョルノ「これはブラインドポーションだ。飲むと一定時間目が見えなくなる
トリッシュ「敵に使えばいいんじゃないの?
ジョルノ「飲まないと効果がないので、そういう便利な使い方はできない
ジョルノ「これはバリウムポーションだ。健康診断で飲むバリウムと同じ効果だ
サトシ「それってなんか役に立つの?
ジョルノ「いや用途は全然思いつかない
ジョルノ「これはピペリンポーションだ。飲むと食べ物が全部辛く感じるようになる
ミスタ「何の意味があるんだ?
ジョルノ「一定時間食べ物が食べれなくなる効果がある。使い道はわからん
ジョルノ「これはジェンダーチェンジポーションだ。一定時間性別が変わる
ミスタ「女になるポーションか?そんなもんいらないぜ
トリッシュ「あたしも別に男になりたくないわよ
ジョルノ「これはラッキーポーションだ。一定時間運の良さが上がる。
ミスタ「それは当たりなんじゃないか?
ジョルノ「まあそうだ。そんなに活用できる場面はないが
ジョルノ「これはリジェネレーションポーションだ。一定時間HPが回復する
トリッシュ「よかったじゃないサトシ。最後のやつが当たりよ
サトシ「よかったあ…
ミスタ「試作品だけあって、ひでえポーションばっかだな
トリッシュ「まあサトシのおかげで無駄にはなんなかったわ
ジョルノ「うむ。みんな協力ありがとう。ご苦労様