妖精郷にたどり着いたガッツ一行でしたが
その過酷な道のりに反して収穫はありませんでした
ガッツとキャスカを受けいれて守り切れる力はなく
刻印を解呪することもできないと言います
しかしその代りにグリフィスの能力と目的を教えます

グリフィスの能力は現実と霊界を行き来できる能力です
これは霊体化という能力で、お化けのような状態になり
不可視の上、物体をすり抜けます
霊体化中は重量を無視して高速移動、かつ空中にも移動できます
その代わり霊体化中は、物質には干渉できず、すり抜けてしまいます
しかしグリフィスは任意のタイミングで物体化することができ、
縦横無尽に相手の予想不可能な奇襲が可能です

霊体化中の闇のグリフィスは蝙蝠のような姿をしています。
この状態では、霊界を縦横無尽に操れます
霊を呼び寄せたり、悪霊を殺すことも自由にできます
空間を引き裂いたり、握りつぶしたりできます
闇のグリフィスの能力は、霊界を支配できる能力といえます
また任意のタイミングで、物質化して光のグリフィスに戻れます

光、物質化された通常時のグリフィスは能力はなく、霊体化を駆使して戦えるだけです
ただしグリフィス本人がとてつもない天才で、何でもできるうえに
人を引き寄せ支配するカリスマを持っています
いわば現実の世界、人々も含め支配できる能力といえるでしょう

闇のグリフィスは鷹の団を生贄に捧げたときに誕生しました
しかしあくまで霊界に存在する、霊体なので現実に干渉できません
断罪の塔で蝕みが完遂し、グリフィスはついに現実に実体化されます
それと同時に、霊界の悪霊たちもまた現実に実体化されてしまい
使徒として人々に脅威を与えてしまいます。

強力な使徒たちは人々を襲い始め、普通の人間たちはなすすべなく蹂躙されていきます
ゴッドハンドはその恐怖と苦痛を啜り、欲望を満たしていました
しかし使徒があまりにも大量に召喚されて、ついにあちこちの国が滅ぼされてしまいます
そうなると、人々はファルコニアを目指さざるを得ません
生きてファルコニアに到達できるのは、優秀で強靭な人間のみに限られ
ファルコニアの国民はおのずと選別されます

すべての国々が滅ぼされると、ゴッドハンドと使徒はついにファルコニアを襲います
ゴッドハンドは人間の欲望を啜って生きながらえる生き物なので
世界中の人々を食らいつくした今、ファルコニアを襲うしかないのです
グリフィスの最終的な目的は、ゴッドハンドをすべて打ち取ることです
これはとてつもなく過酷な籠城戦であり、兵糧と土地の限界で
グリフィスは選りすぐりの戦闘員と非戦闘員に国民を絞る必要がありました

ゴッドハンドは明確に邪悪な存在です
彼らはルールを守り、ベヘリットの持ち主の意思を尊重しているように見えます
しかし彼らは欲望にのみ力を与え、自制心には力を与えません
また使徒への転生の選択も、絶望の淵にあるときのみです。
そのためベヘリットに選ばれし者は、使徒への転生を拒むことは滅多にありません

妖精王はファルコニアとゴッドハンドの戦いに加勢するため、
ガッツ一行にファルコニアを目指せと言います
ガッツとキャスカは生贄の刻印を持つ故、危険な存在ですが
その最後の戦いにおいては必ず受け入れるだろうと言います
それはすべての使徒がファルコニアに集まるため、
生贄の刻印が使途を集めようが、まったく関係がなく
またガッツ一行の助力がなければ、ゴッドハンドは討ち取れないからだと言います

ガッツにとって妖精王の答えは絶望的でもあり、宿命的でもありました
結局ガッツとキャスカの安息の地はなく、何の手助けも得られませんでした
そして世界中が化け物だらけになったいま、ガッツ達一行もファルコニアを目指さざるを得ません。
ファルコニアにたどりついたとしても、いきなりグリフィスの家臣に殺される可能性は高いでしょう
しかし生き延びる、復讐するという両方を達成する可能性がもっとも高い場所は
妖精王の答えが正しければ、ファルコニアということになります
またグリフィスの能力の情報が正しければ、グリフィスを打倒する糸口を見いだせるかもしれません

世界中の人々が全滅した今、ファルコニアがどこにあるのか特定するのは困難です
また妖精王も方角や距離など、正確な地理を説明できません
しかしガッツとキャスカの生贄の刻印から伸びる、か細い光をたどれば
グリフィスのもと、つまりファルコニアにたどり着けると言います。
刻印から伸びる光の線は生贄の苦しみをエネルギーに変換したもので、
刻印の主であるグリフィスに向かって伸びていきます
しかしこれはシールケが意識を集中してようやく知覚できるほどかぼそいものです

ガッツ一行はファルコニアにようやく到達します
ガッツとグリフィスは相対し、ガッツは大剣を構えます
しかしグリフィスは「来るものは拒まず」とだけ言って
ガッツ一行をあっさりと歓迎したのです

しかしガッツの怒りは収まらず、剣をふるいますが、グリフィスは姿を消してかわします
このときガッツはグリフィスの能力が妖精王に言われたとおりのものだと確信
さらにグリフィスを攻略する方法を思いつきます

グリフィスは「俺との決着はゴッドハンドを倒した後にしてほしい」といいます。
グリフィスの要求は、ガッツにゴッドハンド打倒のため共闘してほしい
成功の見返りに、グリフィスは国王の座を退いたうえで
ファルコニアから去り、一騎打ちに応じるというものです。
ガッツの仲間たちはファルコニアに受け入れるが、
ガッツがこれ以上剣を振ったり、国民を巻き込めば、仲間もろとも殺すと言います
またガッツがグリフィスを暗殺した場合でも、家臣に殺させると言います

この報酬はガッツにとっては破格なのですが、
その代わりに、ゴッドハンドを全滅させたうえ、
両者が生き残っていないと見返りはありません
またガッツにとって、その要求が信じられるかは別です

ガッツはファルコニアがすでに使徒とゴッドハンドに包囲されおり
敵対状態にあるのを確信します
次にグリフィスがファルコニアから去る理由を言います
それはゴッドハンドを倒した以上、強力な外敵はおらず、
人々を束ねる理由がないというもの

次にこのまま王を続けると、自分はゴッドハンドのような神になって
永遠に支配してしまうというものです
人間は人間が束ねるべきであり、自分のような神を頼り、
支配されてはいけないといいます。

ガッツはそれだけ言われても、グリフィスの真意をわかりかねます
しかし断れば仲間もろともここで殺されてしまうこと
グリフィスと共闘すれば、ゴッドハンドへの復讐は目前になること
また途中でグリフィスを暗殺すれば、ガッツの仲間は殺されてしまいます
その三つの理由でグリフィスの要求を承諾します

ファルコニアとゴッドハンドの戦いがいよいよ始まります
ファルコニアの兵力と防衛力はすさまじいのですが
ゴッドハンドの総力はさらにそれを上回ります
ガッツも圧倒的な使徒の群れに対峙します
その光景が、復讐の原点となった蝕みにそっくりに見えました

あのときガッツは、絶望的な戦場をたった一人で戦い逃げ延びました
しかし今度の戦いでは、ファルコニアの住人がともに戦い、助け合います
ガッツとファルコニアのわだかまりが自然になくなり
ガッツは鷹の団の黄金時代を思い出します
あの時、自分にはともに戦い、背中を任せられる仲間たちがいたことを

ガッツは自分の仲間を生贄に捧げなくてよかったと、ようやく思います。
この戦いではガッツの横にたち、共に戦ってくれます
いつの間にか、ガッツはあの宿敵ゾッドと、背中を合わせながら剣を振っていました

ゾッドもグリフィスに仕えて人が変わってきたようでした
ゾッドはもともと己の闘争心を満たすため、殺戮を積み重ねてきた人物です
しかしそういった日々に飽食と空しさを覚えるようになりました
殺すことによって、一時的に欲望は満たされるが、結局それだけです
得たいものもなく、目的とするものもありません
ファルコニアで戦うことの意義を見出していました

この戦いにおいて、ガッツとグリフィスの役割は重要でした
ゴッドハンドはもともと、霊体と物体を行き来できる悪霊のような存在です
ドラゴン殺しかグリフィスの能力でないと、ダメージを与えられないのです
ゴッドハンドを守る使徒を、味方とともに排除し、
ガッツとグリフィスがゴッドハンドを打ち取らねばなりません

ガッツ一行を加えたファルコニアは多くの犠牲の上、使徒たちを撃退し、
ついにゴッドハンドすべてを打ち取ります
ゾッドをはじめとする使徒はみな死亡し、生き残ったのは人間と
わずかな使徒もどきに限られました
髑髏の騎士も復讐を達成し、成仏しました

グリフィスは約束を守り国王を退くと宣言した後
国民の前で真実を語ります。
自分はかつての仲間達である鷹の団を生贄に捧げ、使徒になった人間であると
そして世界を混沌に貶めたゴッドハンドであり、ファルコニアにとどまるつもりはないと
これから行われるガッツとの一騎打ちは怨恨の決着であり、誰も邪魔してはならない
そして第三者が介入したり、恨みを持ったりすることは、両者の名誉を怪我すことだと
グリフィスはなにも言わずに国を去ることもできましたが、
真実を語ることは、自分にも国民にも、義理とけじめになると考えたのです

グリフィスにとって自分の国を持つことは、生涯の夢でした
しかしその夢が現実となった今、不思議とファルコニアに未練はありませんでした
あの時のようにガッツとグリフィスは人里離れた雪の平原で決闘を始めます
この戦いはガッツの仲間とグリフィスの精鋭部下が見守ります
グリフィスの手下は超越者ですが、ガッツの仲間も同じほど強いのです
お互い手を出さないように監視し、証人にならなければなりません

両者は一切の手加減をするつもりはありません
グリフィスは霊体化してガッツの背後に回り込みます
しかしガッツはこれを読んで、一撃でグリフィスをたたき切ります
もともとこの一騎打ちはガッツが有利でした
ガッツのドラゴン殺しは霊体ですら切れるうえ
生贄の刻印の痛みによって、グリフィスの位置が分かったのです

ガッツは妖精王の助言、いけにえの刻印でグリフィスの場所にたどり着ける、という言葉に思い当たる節がありました
ガッツは使徒と化したグリフィスと再開するのは過去2度あり、グリフィスに近づくほど痛みが強くなるのです。
その痛覚を研ぎ澄ませば、自分とグリフィスの距離と方向がわかるんではないか?と考えていました

その後、ガッツはグリフィスとファルコニアで相対したとき、
ガッツは剣を振ろうとグリフィスに間合いを詰めた瞬間、グリフィスは目の前から消えました
ガッツは愕然としますが、刻印の痛覚によって、消えたグリフィスの歩みが認識できていました
霊体化したグリフィスは姿こそ見えないが、ガッツから見て左方向に素早く移動し、
大剣をかわした後、背後に回り込んでいた、そう知覚します
その瞬間、ガッツはグリフィスの能力と自分の感が真実だと確信しました。
幸い、刻印の痛覚はグリフィスが使徒ではなく人間に近い存在なったため、十分自制できるほどで、
ガッツは一騎打ちにさえ持ち込めれば、グリフィスを殺せると目論んでいました

ガッツと同様に、グリフィスもガッツについて三つのたしかなカンがありました
まずドラゴン殺しが命中すれば、霊体化していても自分は死ぬということ
ガッツはとてつもない瞬発力で接近し、とてつもないリーチの大剣を振り回してくるので
グリフィスといえども、それをかわすのは命がけだということ。
三つ目にガッツの目の前で霊体化すれば、ガッツは絶対に右から反時計回りに剣を振るということ
ガッツは右目を失明しており、グリフィスが姿を消せば、死角である右側に素早く回り込まれた思い込み
その方向を斬るように大剣を振るだろう。
そのためガッツからみて左方向に移動すれば、確実にかわせるはずだと。

しかしそれだけカンを巡らせても、グリフィスはもともと、ガッツに勝てないことを悟っていました
グリフィスの目的は断罪です。
鷹の団時代、ガッツはグリフィスに多大な恩を返したうえで、
飼い殺しになるからという理由で去りました
また誰も引き抜いてはいきませんでした。
つまりガッツの退団はおおよそ正当なものです

しかしグリフィスは私情で鷹の団を破滅させたうえ
同じ理由で鷹の団を生贄に捧げてしまいました。
グリフィスは仲間たちに強い罪悪感を感じていました
グリフィスの死に顔は安らかでした。
生涯の夢を叶えたうえ、未練だった仲間達への断罪も終わったのです
グリフィスはごく普通の人間の死に方をしました。
ゴッドハンドが死亡した今、無限地獄に落ちることはありませんでした

グリフィスが死亡した今、ガッツとキャスカの刻印は効果を失います
復讐を成し遂げた見返りとして、ガッツとキャスカは些細な能力を得ます
刻印によって使途の存在を知覚できます。その大まかな位置もわかりますし
人間に擬態している使徒も見破れます
キャスカはファルコニアの脅威になるかもしれない使徒を排除するため
ファルコニアに定住するように嘆願されます

一方ガッツですが、また大剣を担いで、旅にでることを選びました。
まだ世界のあちこちには使徒の残党がちらほらいるのです
またゴッドハンドのような強力な存在が出現するやもしれません
それを倒して回るため、ファルコニアから出ていくのです

ガッツはその強さとファルコニアへの貢献ゆえ、
残ってほしいと嘆願されますが断ります
「コイツを振り回してる方が、性に合ってる」と言い残し去っていきました
キャスカは後を追いたいのですが、ガッツの子供がそばにいる以上
危険な旅に同伴するべきでないと諭されます

ガッツがこうやって旅に出るのは何度目かわかりません
しかしこれまでとは違い、孤独ではありませんでした
ファルコニアの国民すべてからその後ろ姿をみとられ
大声援のもと送り出されたのです
そしてガッツ自身の旅の目的も変わりました。
剣をふるうという己の欲望のため、キャスカをはじめとする人々のため
両方の目的のために旅に出る